2023年11月23日(木)

▼母親が子どもを連れて9月中旬ごろ、鈴鹿市のアパートを出て、三重郡の知人男性宅で暮らし始めた。アパートには子どものきょうだいである11歳の息子1人が残され、母親は数日に1回、現金やカップ麺など食料品を届けていた―さまざまな状況が連想される。県警は保護責任者遺棄容疑で母親を逮捕した

▼思い出されるのは、旧厚生省と同労働省が統合し、旧厚生省の子ども担当部門と旧労働省の女性問題担当部門が一つの課になった時の様子を元厚労事務次官の村木厚子さんが語っていたことだ。両部門の間で、女性視点か子ども目線かで連日激しい議論が繰り返された。互いの立場が理解され、やがて収まっていったという村木さんだが、同課はその後、両部門に分かれている

▼県児相はかつて保護者の言い分に多く耳を傾けていた。子どもを最終的に育てるのは保護者だという理解からだ。強制的に親子を引き離す権限はないとも説明していたが、深刻な児童虐待事件が県はじめ全国で発生し、児相に強制力が認められた。今回母親は鈴鹿児相に男児との関わり方について相談していた

▼男児の一時保護の必要を認め、母親も前向きだったが、今度は男児に強く拒否され、見送った。「子どもを無理に連れて行くことは難しい。粘り強く説得」と県子ども福祉・虐待対策課長

▼親類の通報で鈴鹿署が母親を逮捕し、息子のネグレクトの疑いを通告され、児相は一時保護した。すんなり従ったという。「児相の対応に問題はなかった」と同課長。児相の役割とは何か。家族関係が崩壊した中で言葉はむなしく響く。