伊勢型紙保存会「後継者の励みに」 サントリー地域文化賞贈呈式 三重

【鳥井理事長(左)から楯を受け取った内田代表=大阪市内のホテルで】

サントリー文化財団(大阪市、鳥井信吾理事長)が地域の文化向上に顕著な貢献をした団体・個人をたたえる「第45回サントリー地域文化賞」の贈呈式がこのほど、大阪市内のホテルであり、県内から受賞した三重県鈴鹿市の「伊勢型紙技術保存会」の内田勲代表が、鳥井理事長から正賞の楯(たて)を受け取った。

式には、今年受賞が決まった全国5団体の代表者や政官財界・非営利団体関係者、選考委員、過去の受賞者ら約300人が出席。

鳥井理事長はあいさつで、受賞団体の「地域に根ざした文化活動に取り組む姿に日本の未来の希望を見るよう」だとし、同保存会については、伊勢型紙が「大変美しい日本の伝統技法」である上、技術の継承者が今年新たに生まれて「未来への一歩を踏み出している」などとたたえた。

鳥井理事長から、ウィスキーのたるに使われていたホワイトオーク製の楯を受け取った内田代表は、同会の後継者育成事業が評価されたことに謝意を述べ、同事業で「(今年新会員になった)7人が20年近く技術を錬磨してきた。頑張った者たちにご褒美のような受賞。あとに続く後継者候補にも励みになる」と喜んだ。

同保存会の紹介映像の上映の中では、近年の研究により、伊勢型紙の斬新なデザインが19世紀後半にルネ・ラリック(仏ガラス工芸家)ら海外の工芸家などに影響を与えたことが知られるようになったと紹介。同型紙の4つの彫刻技法や、職人1人が生涯で1技法だけを追求することなどが説明された。

同賞は毎年贈呈され、今回で計240団体・個人が受けた。受賞団体には副賞として300万円が贈られる。今年の受賞はほかに「若狭小浜ちりとて落語の会」(福井県小浜市)など4団体。