石阪氏、Z世代の特性紹介 若者引きつける施策を、伊勢新聞政経懇話会 三重

【伊勢新聞政経懇話会で講演する石阪埼玉大教授=津市大門の市センターパレスホールで】

伊勢新聞政経懇話会が28日、津市大門の市センターパレスホールであり、埼玉大教授でキャリアセンター長の石阪督規氏が「人口減少時代の若者たちの行動特性―Z世代の就職、結婚、子育て事情」と題して講演した。20代前半までのいわゆるZ世代と呼ばれる若者について、自分らしさにこだわり、承認欲求が強く、フラットな人間関係を好むといった特徴を指摘。その上で、若者の転出超過が続く県について「若者を引きつけ、うまく地域づくりに活用する環境づくりが必要」と話した。

Z世代の就職について、企業に求めるものは成長性▽共感性▽ワークライフバランス―だと強調。「会社が苦手だと思われがちだが、趣味やプライベートを充実させたいとするのは一つ上の世代」と述べ、Z世代はやりたい仕事を柔軟にできる環境に価値を置いているとした。

また、結婚や子育てについて、若者の約半数が「結婚するつもりはない」と回答している県統計を紹介。背景に、収入の不安定さや、自己肯定感の低さがあるとし、「今の若者は非常に謙虚だが、マイナス思考が多い。特に男性からプロポーズできない状況」と話し、就職支援の充実などが必要だとした。

石阪氏は三重大准教授を務めるなど県にゆかりもあり、県統計をもとに県の状況も分析。若者の転出が続いている要因の一つに、大学の収容人数が全国的にも低く、進学の際に県外に流出していることを挙げた。

一方で、将来的に県に戻りたいと考える若者は4分の1しかいないと指摘し、「県へUターンしたいような、または県外に出ずとも定着できるような施策が必要」と述べた。

石阪氏は東京生まれ。広島大大学院修了後、三重大准教授、東京未来大教授などを経て現職。県人口減少対策有識者会議委員、みえ若者就労支援ネットワーク会長などを務める。