薬用植物の産地化へ 熊野で勉強会、三十三総研が取り組み紹介 三重

【勉強会で講師を務めた(右から)伊藤氏、金井氏、大岩氏=熊野商工会議所で】

【熊野】三十三総研(三重県四日市市)は27日、熊野市木本町の熊野商工会議所で市町担当者向けの「薬用植物栽培勉強会」を開き、伊藤公昭副社長らが薬用植物の産地化に向けた取り組みを紹介した。

同社は、地域活性化を目的に、県内で薬用植物の栽培に取り組み、産地化を進めている。

2013(平成25)年度にスタートした「三重県薬用植物産地化プロジェクト」は、県からの委託による調査・試験栽培を経て、現在は同社独自に、いなべ市や度会町、多気町などへ協力を呼びかけて栽培の範囲を拡大。鎮静作用のある薬用植物「カノコソウ」の栽培・出荷やぶどう山椒、ドクダミの試験栽培を行っている。

この日の勉強会は、県内で最も栽培されており更年期障害向け鎮静薬の原料として大手製薬メーカーの需要があるカノコソウの栽培面積拡大と、県中南勢・東紀州地域に適した薬用植物栽培を目指して開催。東海農政局、県のほか、熊野市・御浜町・紀宝町など4市町の担当者ら11人が参加した。

伊藤氏はプロジェクトの概要を説明。プロジェクトでは、獣害に遭いにくい薬用植物栽培による耕作放棄地の活用や雇用拡大、地域所得増加など、薬用植物の産地化を通じ、地域の課題解決を目指している。

内閣府地域活性化伝道師で明治薬科大の金井藤雄副理事長も講演し、薬用植物の栽培方法や、中南勢・東紀州地域の特性に応じた栽培可能性のある薬用植物として、ミカンの果皮を乾燥させた「陳皮(チンピ)」、ダイダイや夏ミカンの未熟果実を乾燥させた「枳実(キジツ)」を紹介した。

九鬼産業開発部の大岩優貴氏は、カノコソウの栽培方法や栽培時の注意点、洗浄や乾燥など出荷時の調整作業について説明した。