2023年6月28日(水)

▼「お役所かたぎ」と言えばいろいろ例はあげられるが、たとえば「省益あって国益なし」。「局益あって省益なし」とも。大局などお構いなしで、自分たちの利益追求に走る。浮き世離れしているとも言えようか

▼先の各メディアの世論調査で、岸田内閣の支持率が、大きく下落した。因はさまざまだが、共同通信が筆頭にあげていたのがマイナンバーカードの混乱だ。トラブルが散見された当初は「システムのミスはない」と言っていた河野太郎デジタル相が増大につれ自らを処分し、ついに「あってはならないミス」

▼さらなる拡大か、支持率下落で追い込まれたか、岸田文雄首相は秋口までの総点検を言い出し、健康保険証から「マイナ保険証」に切り替える時期の大幅順延も示唆した。その手順さえ、見込み通りいきそうもないとの指摘が各方面から出ている。―なんてことは、県の耳には馬の念仏らしい

▼マイナカードの混乱を背景に「少し立ち止まって考えては」と、県議会から普及方針の再考を求められて、県総務部は「トラブルが続き、カードへの信頼を得られないと残念」「国と歩調を合わせる。国の総点検を着実に進める」。まさに馬耳東風。議論がまるでかみ合っていない

▼間違いだらけの国から近く届く見直しの通知に従って国の点検に協力し「県民の不安を払拭する」というのだから、国民の声など入り込む余地がない。どこ吹く風である

▼ひも付けミスだけで全国で13万件以上。県では松阪など1、2の市町が報告しているだけ。せめて県内の実態を把握し、国に同一歩調を求めてはどうか。