法令に抵触か「継続審査」 提出中の文化振興条例案 三重県議会常任委

【文化振興条例案の「継続審査」を決めた環境生活農林水産常任委=県議会議事堂で】

三重県議会は23日、政策企画雇用経済観光
、環境生活農林水産、医療保健子ども福祉病院の各常任委員会と、予算決算常任委の各分科会を開いた。県が提出中の文化振興条例案が関係法令に抵触する可能性がある問題で、環境生活農林水産常任委は条例案を事実上の「継続審査」とし、予定していた採決を見送った。法に抵触する可能性を現時点で完全には排除できないことが理由。「法律上の明確な整理ができれば採決する」としている。

「明確な整理できれば採決」 〈環境生活農林水産=山崎博委員長(8人)〉

環境生活部は文化振興条例案について「法律上の問題はない」と主張したが、委員からは「慎重に構える必要がある」との声が上がった。

【条例案】

抵触する可能性があるのは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)。同法は文化の職務権限が教育委員会にあると定めつつ、いわゆる「特例条例」を別に制定すれば知事に移管できる。

一方、提出中の文化振興条例案は県が文化の事務を担うと定めたが、特例条例は提出していない。常任委の委員らは21日、議会事務局から条例案が同法に抵触する可能性について説明を受けていた。

この日の常任委では、環境生活部が「文化の職務権限は既に知事へ移管された状態にある」と説明。部局の所管分野を定めた部制条例に、同部が文化の事務を担うとの記述があることを根拠とした。

この説明に対し、稲森稔尚委員(草の根運動いが、3期、伊賀市)は「特例条例を置いた上で文化振興条例を通すのが適切」と主張。「県教委の独立性を踏み越えるのなら慎重さを期すべき」と訴えた。

また、同部は文科省に問い合わせたが「今のところ回答はない」と説明。委員からは「慎重に構える必要がある。このままのやりとりで採決するのはどうか」との声が上がり、議論は非公開の委員協議に移った。

再開後の常任委では津田健児委員(自民党、6期、四日市市)が「法に抵触するかどうかあいまいな中での採決は問題」と述べ、審査の継続を求めた。常任委は全会一致で採決を見送ることを決めた。

「三重テラス」9月にリニューアル 〈政策企画雇用経済観光=芳野正英委員長(8人)〉

雇用経済部は、首都圏営業拠点「三重テラス」(東京都中央区)を、9月16日にリニューアルオープンすると報告。開設十周年記念のイベントを合わせて開くことも明らかにした。

【三重テラス】

県によると、三重テラスは7月17日で営業をいったん終了し、内装工事などを経て再開する予定。リニューアル後はレストランのカウンターに県産ヒノキ、内装には県内の伝統工芸品を使用する。

リニューアル後は観光案内などの業務を外部に委託し、県内の観光地や県産品に詳しい担当者が来館者を案内する。県は「イベントを定期的に開催し、首都圏のプロモーションを強化する」としている。

三重テラスは平成25年に開設し、9月に10周年を迎える。累計来館者数は5月末現在で520万1682人。改装費として5227万2千円を本年度の一般会計当初予算に計上している。

待機児童、2年連続増加 〈医療保健子ども福祉病院=川口円委員長(8人)〉

子ども・福祉部は、保育所などへの入所を希望する待機児童が2年連続で増加したと報告。保育士不足を原因に上げ、人材確保に取り組む考えを示した。

【待機児童】

県によると、保育所、認定こども園などの待機児童は前年比39人増の103人。放課後児童クラブの待機児童も24人増の52人だった。

子ども・福祉部は「施設整備や人材確保が喫緊の課題」と説明。保育士を目指す学生を対象とした修学資金貸付の対象人数を増やすほか、保育士の処遇改善や仕事の魅力の発信に取り組む考えを示した。

松浦慶子委員(自民党、1期、多気郡)は待機児童が増加した理由を尋ねた。担当者は「働く女性が増えて保育所への入所を希望する児童が増えたが、受け皿となる保育士の数が足りていない」と説明した。