原告遺族死亡で訴訟終了 三重県立高男子生徒いじめ自殺

三重県立高1年の男子生徒=当時=(16)=がいじめを原因に自殺したとして、遺族が県と加害者とされる当時の生徒4人に約7300万円の損害賠償を求めた訴訟で、県教委は23日、遺族が死去したことから訴訟が終了したと発表した。

県教委によると、男子生徒の遺族は令和3年8月に提訴。同年10月に津地裁で第一回口頭弁論が開かれ、その後も11回にわたって弁論準備手続が開かれるなど、審理が続いていた。県教委は証人尋問などの準備も進めていた。

一方、この遺族は昨年12月に亡くなり、相続人がなく原告側が引き継がれなかった。今年6月の口頭弁論への出席がなかったため、津地裁は民事訴訟法に基づいて訴えが取り下げられたとみなし、同月15日付で訴訟を終えた。

県教委は今年1月、地裁から連絡を受けて遺族が亡くなったことを把握した。生徒指導課は「遺族にお悔やみ申し上げる。今回の事案を受けてまとめた再発防止策に基づき、同様のことを繰り返さないよう取り組む」としている。

男子生徒は上級生らにたたかれたり、部活動のグループLINEで人格を否定するような言葉を投稿されたりした。その後、平成30年8月に自殺。県教委は同年11月、いじめ防止対策推進法に基づく「いじめ重大事態」と認定した。

遺族は訴訟で、部活動の顧問を務める教諭が「積極的な対応をしなかった」とし、教諭の注意義務違反と生徒の自殺に因果関係があると主張。県教委は「教諭は繰り返し上級生に注意していた」などとして、請求の棄却を求めていた。