災害時初動対応を強化 県「オペレーションルーム」8月から運用 県議会常任委

【オペレーションルームの概要について説明を受ける防災県土整備企業常任委=県議会議事堂で】

三重県議会は22日、総務地域連携交通、防災県土整備企業、教育警察の各常任委員会と、予算決算常任委の各分科会を開いた。防災対策部は災害時に情報収集などの初動対応に当たるスペースとして県庁に設ける「オペレーションルーム」の概要を示した。災害時に関係機関の職員が入室することなどを想定し、現状の約3倍に当たる面積を確保した。8月から運用する方針。

河川被害などモニター即時確認
〈防災県土整備企業=石垣智矢委員長(7人)〉
県によると、オペレーションルームは初動対応が遅れないよう、常設とする予定。知事が指示を出す「シチュエーションルーム」も同じフロアに設ける。

【災害対策本部】
県が災害発生時に使用している「災害対策室」は約50平方メートル。災害時は本庁に隣接する講堂も使用する想定だったが、設営や資機材の移動で初動対応が遅れる可能性があった。

このため、県は大規模災害時でも対応できるオペレーションルームを、防災対策部が入る本庁5階に設けることを決定。本年度の一般会計当初予算に整備費などとして1540万円を計上していた。

オペレーションルームの面積は約170平方メートルで、河川の被害などをリアルタイムで表示するモニターなどを備える。隣接する防災対策部の執務室も、災害時はオペレーションルームの一部として使用する。

リニア県内駅「新たな玄関口」
〈総務地域連携交通=喜田健児委員長(8人)〉
地域連携部はリニア中央新幹線の効果を県全域に広げることを目的とした「県リニア基本戦略(仮称)」の策定に向けた「基本的な考え方」を公表した。

【基本戦略】
県によると、一見勝之知事は2月の県議会一般質問で基本戦略を策定する方針を表明。年内にも中間案を作成し、パブリックコメント(意見公募)などを経て来年3月に策定する予定。

基本的な考え方は、リニアの県内駅を「新たな玄関口」と定義。「これからの時代に選ばれる三重」を開業によって目指す姿と定めた。「次世代が希望の持てる将来像を提示する」としている。

基本戦略には、暮らし方・働き方▽観光・交流▽産業・経済―の分野ごとに、取り組みの方針や期待される効果を記載する予定。リニアの県内駅と既存の交通網を効果的に連結するための方針も盛り込む。

一方、基本的な考え方は開業によって「懸念される課題」として、人材や資産などが都市部に吸い寄せられる「ストロー現象」に言及。人材などを巡るリニア沿線地域同士の競争も課題に上げた。

重要犯罪の検挙率上昇
〈教育警察=山内道明委員長(8人)〉
県警は犯罪に強いまちづくりに向けた施策を評価する「令和5年版県政レポート」を報告した。重要犯罪の検挙率が上昇した一方、刑法犯や特殊詐欺の認知件数が増加。総合評価は四段階で上から2番目のB(おおむね順調)とした。

【県警担当者から報告を受ける教育警察常任委=県議会議事堂で】

【特殊詐欺】
小島智子委員(新政みえ、4期、桑名市・桑名郡)は特殊詐欺の被害状況などを尋ねた。射場重人刑事部長は架空料金請求を筆頭に県内で2億円以上の被害が発生していると報告。「リーダー格の摘発に向け、全国と協調して突き上げ捜査を進める」と述べた。

龍神啓介委員(自民党、1期、津市)は、自動通話録音警告機の抑止効果について尋ねた。大林昌弘生活安全部長は平成28年から貸与を始め、津市や四日市市で実施したアンケート調査では24・8%が撃退に効果があったと回答したと報告。「一定の効果を実感している」と述べた。

【交通相会合】
難波健太本部長は、志摩市で開かれたG7三重・伊勢志摩交通大臣会合の警備について「成果を諸対策に生かし、県民の安全安心の確保に努めていく」と報告した。

中嶋年規委員(自民党、6期、志摩市)は「7年前の伊勢志摩サミットと比べて規模も質も期間も違うが、不安もなくやっていただいた。誉れであり、現場にねぎらいの言葉をかけてほしい」と評価した。