野山散策、自然にカメラ向け 伊勢で92歳加藤さん初の写真個展

【約30年撮影してきた風景写真の初個展を開いた加藤さん=伊勢市大世古の伊勢和紙ギャラリーで】

【伊勢】野山を散策し自然をカメラに収め続けてきた三重県伊勢市小木町の加藤貞子さん(92)の初個展「自然に惹かれて―九十路(ここのそじ)の眼差(まなざ)し」が、同市大世古の大豊和紙工業伊勢和紙ギャラリーで開かれている。7月2日まで(25日は休館)。

加藤さんは、岐阜県多治見市で暮らしていた59歳の時、名古屋市で開催された風景写真のグループ展を訪れた。そこで見た作品に心動かされ「自分も撮ってみたい」と、名古屋の写真教室に通い始めた。子育てが一段落したこともあり、教室に約10年通って写真の基礎を学び、趣味の山歩きをしながら撮影を楽しむようになった。

カメラが趣味だった夫や写真グループの仲間と撮影旅行に出かけたり、時には1人で電車に乗って出かけたり、持ち前の好奇心で各地へ足を運んでシャッターを切り続けてきた。

個展では、これまでに撮影したフィルム写真を中心に、伊勢和紙に印刷された作品47点を展示。足しげく通った愛知県茶臼山、長野県美ケ原など、季節や時間で変化するさまざまな自然の表情を、和紙の柔らかな風合いで表している。

加藤さんは、コロナ禍以降遠出は控えるものの、今も身近な自然にカメラを向ける。「多くの方の協力で、素敵な作品展が実現した。少し恥ずかしいけど、これまでの集大成です」と微笑んだ。