貴金属店強盗、男に懲役5年求刑 津地裁四日市支部で初公判 三重

令和2年に三重県四日市市の貴金属買い取り店で金品を強奪後、逃亡先のフィリピンで身柄を拘束されたとして、強盗の罪に問われた名古屋市守山区、建設業矢野洋平被告(43)の初公判が16日、津地裁四日市支部(鵜飼祐充裁判官)であり、矢野被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役5年を求刑し、即日結審した。判決は今月26日に言い渡される。

検察側は冒頭陳述で、「内妻や子らとフィリピンで生活していたが金銭的に困窮したため日本に帰国して犯罪で金を稼ぎ、またフィリピンに逃亡しようとした」と指摘。SNS(交流サイト)を通じて共犯者を募り、催涙スプレーなど犯行道具を準備し、下見をするなど計画的に犯行に及んだとした。

論告では、「計画的犯行であり、逃走時に被害者を結束バンドで拘束し、目鼻口を粘着テープでふさぐなど強度かつ危険な暴行で、態様は悪質。主導的立場であり、財産的被害も重大で動機や経緯に酌量の余地はない」と強調した。

矢野被告は被告人質問で、フィリピンへの逃亡について「自分の意識では逃亡と思っていない。家に帰るという感覚」と主張。逃亡先のフィリピンでは建設業を営み、被害者への被害弁済として1千万円を支払ったことを明らかにし、「後ろめたさがあり、誠意を示したかった」と述べた。

弁護側は最終弁論で、「どちらが主従という関係ではない。被害弁済により被害者も執行猶予や短期刑を容認する姿勢を示している」として執行猶予を求めた。

起訴状などによると、矢野被告は令和2年2月6日、共犯の男=強盗罪で服役中=と共謀して四日市市内の店舗に押し入り、男性店長=当時(56)=の顔に催涙スプレーを吹きかけ、ナイフを突きつけて現金約88万円と貴金属等70点(時価合計約256万円)を奪ったとされる。

矢野被告は事件直後の2月8日にフィリピンに逃亡していたが、令和5年1月に不法滞在の疑いで身柄を拘束されていた。