三重県の魅力発信期待、海外メディアは取材登録なし G7交通相会合あす開幕

開幕を16日に控えるG7三重・伊勢志摩交通大臣会合。出席する大臣らは伊勢神宮を訪問する予定で、魅力発信への期待が高まっている。一方、海外メディアの取材登録はなく、早くも海外への魅力発信には陰りが見える。

伊勢志摩サミットでは、首脳ら9人が伊勢神宮の内宮を訪問した。鈴木英敬知事や岸田文雄外相(いずれも当時)の出迎えを受けた後、境内で神宮スギ3本を植樹。県史に大きく刻まれる場面となった。

「参拝」とはせずに「訪問」と扱うなど、宗教上の懸念をクリアした上で実現した。首脳らは「素晴らしい教訓と経験を与えてくれた」「聖なる場所に行くことができて感動した」との感想を寄せた。

今回の会合でも大臣らの内宮訪問が実現する。宇治橋前で記念撮影をした後、正宮に向かう予定。ウクライナ情勢が収束の兆しを見せない中、平和への祈りをささげる場への訪問は意義深いシーンとなる。

誘致段階から「三重を象徴する場所」として伊勢神宮をアピールした県にとっては朗報だ。「伊勢志摩サミットに続いて海外へのアピールにつながる。非常にありがたい」と、雇用経済部の担当者は喜ぶ。

一方で「想定外」(県職員)の知らせも。国交省の担当者は9日のメディア向け説明会で、会合の取材に登録した海外メディアがなかったと明かした。G7参加国を中心に、広く登録を呼びかけていたという。

伊勢志摩サミットでは国内外のメディアから約5千人が参加。メディアセンターは多くの外国人記者でにぎわった。同じ年に長野県軽井沢町で開かれた交通大臣会合にも、2人だったが海外メディアも参加した。

県が今回の会合に最も期待していたのは、県内の魅力を海外に発信できるということ。観光振興を「最重要施策」とする一見県政にとって、そのために会合の誘致を進めてきたと言っても過言ではない。

「一定の参加があると思っていた。まさか誰も来ないとは」。県の担当者は驚きを隠せない様子。県内の観光地を紹介する英語版の冊子を作成するなど、海外メディアの来県を想定して準備を進めてきた。

ただ、海外メディアの不在を嘆いてもいられない。県は会合に向けて開設した公式SNS(交流サイト)を通じて県の魅力を発信する予定。随行する各国政府の公式カメラマンらにも協力を求める考えだ。