平和への思い込め、陽光桜染め作品展示 鳥羽で作家高野さん 三重

【陽光桜を使って染めた作品などを紹介する高野さん=鳥羽市鳥羽の「鳥羽大庄屋かどや」で】

【鳥羽】三重県鳥羽市鳥羽の地域交流施設「鳥羽大庄屋かどや」で、玉城町原の草木染作家、高野葉さんの作品展「陽光桜 海を越えて咲き誇る」が開かれている。平和への願いを込めて開発された陽光桜で染めた作品のほか、写真や書など約50点が並ぶ。26日まで。18日には朗読会や箏演奏も行われる。火曜日休館。

陽光桜は愛媛県の元教員、故高岡正明さんが戦時中に教え子を戦地に送り出した悔恨の思いから、鎮魂と平和を願い約30年かけて開発。その思いを息子の照海さんが引き継ぎ、世界各国に無償でサクラを贈り続けていることを知った高野さんは、平和への思いを伝えようと約6年前から、照海さんが育てた陽光桜を使った作品制作に取り組んでいる。

会場には、陽光桜の枝から抽出した染料で優しいピンク色に染めた布に桜模様の型染めを施した作品や、6月の陽光桜をイメージしてアザミで緑色に染めた布に、若葉の押し染めをした作品(共に約13メートル)などを展示した。

高野さんの友人で昨年9月に亡くなったシンガー&ボイスアーティストのおおたか静流さんは、高野さんの活動を歌で応援していたという。今回はおおたかさんへの哀悼の意を込め、藍染めで海を、桑の葉染めで光を、陽光桜染めで平和を表現した作品のほか、おおたかさんが作詞した歌を書でしたためた作品や光をテーマにした写真も並べた。

高野さんは「草木染を通して高岡さんや静流さんのことを知ってもらいたい。これからも陽光桜に込められた平和への願いを伝えていきたい」と話した。