<まる見えリポート>パラ陸上 〝共生〟テーマに新機軸

【1500メートルを走り終えた選手をねぎらうチームみえりくのスタッフら=4日、鈴鹿市桜島町のAGF鈴鹿陸上競技場で】

新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった第21回全国障害者スポーツ大会「三重とこわか大会」。県内初開催の全国障スポ大会に向けて高まったパラスポーツの機運を持続させるため、関係者が県内でさまざまな取り組みを続けている。パラ陸上界では2021年東京パラリンピックを契機にスポーツ界でも広まる〝共生〟をテーマに新機軸を打ち出す。

鈴鹿市などが拠点の障害者陸上チーム「チームみえりく」は今月4日、市内で独自の記録会「みえりくとこわか記録会2023」を開いた。50メートルから1500メートルまでのトラック7種目、立ち幅跳び、走り幅跳び、砲丸投げなどのフィールド6種目に10代から70代と幅広い年代の約40人が挑んだ。

選手の多くが全国障スポ大会出場を目指している。その一方で、全国障スポ大会につながる大会は県内では年1回開かれる三重県障がい者スポーツ大会に限られ、実戦に近い形で記録を狙う機会の創出が以前から課題となっていた。

昨年試行的に記録会を自主開催したところおおむね好評だったため、今年から正式開催となった。「来る者は拒まず」(チームみえりくの逢坂瑞季会長)の大会で、参加選手の障害区分も知的障害、義足、視覚障害とさまざまだが、保護者や学生ボランティアの助けも借りながら、自己記録の更新に励んでいた。

「チームみえりく」の設立は平成30年。3年後に開催が決まっていた三重とこわか大会に向けた選手の発掘・育成が当初の目的だった。支援学校の教員や障害者スポーツ指導員らが立ち上げに関わり、月1、2回、鈴鹿市の競技場などで練習会を行ってきた。

発足当初4人だった選手は活動が口コミなどで広がった結果、現在60人。西日野にじ学園高等部の教員で、男子400メートルでインターハイ、国体などへの出場経験を持つ逢坂さんら競技経験者もスタッフに加わり、指導態勢も充実してきている。

三重とこわか大会はコロナ禍で中止になったが選手たちは新しい目標に向かって努力を続けている。片大腿切断・片下肢完全の部の投てき二種目で初出場した昨年の栃木大会でメダルを獲得した鈴鹿市の71歳、栗本由富さんは「次は孫と一緒に出たい」と、2年後の滋賀での障スポ大会に照準を合わせている。

県内では障害者陸上団体の組織化も進む。昨年12月には各種団体が協力して、日本パラ陸上競技連盟の下部組織となる「三重パラ陸上競技協会」が発足。今後日本パラ陸上大会の県内誘致などを目指して行く方針だ。

東京パラリンピックを契機に全国で広がる、健常者と障害者の「共生」もパラ陸上界のキーワード。2年前には県内最高峰となる三重県陸上競技選手権に大会史上初めて、本県のパラリンピック等選手強化指定選手2人を参加させた。

スポーツを通じた社会参画が主な目的のチームみえりくでも共生は重要なテーマだ。「健常者、障害者が一緒に陸上に取り組める場所をつくりたい」と話す逢坂さんは「まずは障害のある人の大会を増やしていくことでその機会を増やしたい」と話している。