2022年4月14日(木)

▼室生赤目青山国定公園と香肌峡県立自然公園、奥伊勢宮川峡県立自然公園を計画地に含む国内最大規模の陸上風力発電施設建設計画なのに、反対しているとはいえ、地元住民で構成する「まつさか香肌峡環境対策委員会」の98項目の公開質問状に対し、事業者側は「回答は差し控えさせていただきたい」と答えたという

▼地元の大台町長、松阪市長、県知事、経済産業大臣の関係行政四者のうち、「中立の立場」として最も穏当な意見を述べた松阪市長でさえ「地域住民等との合意形成を図るなかで説明会など理解を高める努力を十分行っていただきたい」と言っている。「説明会など」は住民の懸念に対する回答も含まれると思うが、業者にはまた別の「理解を高める」妙案でもあるのだろうか

▼東北大震災と原発事故の衝撃を背景に誕生した鈴木前県政は、再生可能エネルギーに前のめりに突っ込んだ。結果は想定の数倍の開発計画が殺到し、想定の上方修正、次いで抑制へとカジを切った。志摩市は抑止の条例までつくった。ミニ開発ブームやゴルフ場開発規制緩和などで何度も繰り返した前車の轍をまたもピタリとなぞった

▼西武資本を背景に県もからんだ第3セクター・志摩東京カウンティの土地売買契約の履行を巡り、県、鳥羽市が長く後始末に追われた。固定価格買取制度が大きく変わった今、殺到した業者の全てがもくろみを維持しているかどうか

▼経産相が「取りやめも含めた抜本的見直し」を求める見解を出している。どう見直すかはともかく、住民の質問に誠実に対応するのは業者の責任ではある。