2022年4月15日(金)

▼シャープの最高経営責任者(CEO)に一日付で就いた呉柏勲氏の初の記者会見が12日、報じられていた。扱いは二段。全国紙では一段も。亀山工場は触れられていない。シャープは遠くなりにけり

▼新CEO就任について一見勝之知事も特にコメントはなく、記者会見などでも話題になってない。液晶テレビの国内生産撤退が明らかになった平成29年を最後に忘れられた存在になった

▼当時、鈴木英敬前知事はテレビ撤退はシャープの部門長から連絡があり、亀山工場、三重工場自体は携帯のディスプレー生産などでフル操業。県内雇用も堅調で、県にとっては問題なく、従って補助金90億円の返還などは思いもよらずと語っていた。外国人労働者の大量解雇が問題になったのはその翌年

▼東芝の巨額損失が明らかになった同時期で、粉飾決算や不正取引が次々に明るみに出て、県が経営顧問格で重用してきた最高幹部が同社から刑事告発された。半導体主力工場の四日市工場は分社化され、身売り話へと進んだ。本体の東芝は、その後も大株主のファンドとの調整に苦しみ、人事や分社案などが次々否決され、事業の切り売り勝手放題の非上場化への道を余儀なくされている

▼かつてハゲタカといわれたファンドが今や株主を代弁する〝正義派〟とみなされ、彼らの選んだ第三者委員会の指摘〝真実〟とされる。そんたくやデータ、統計不正を散々見せつけられた帰結ということか。国民も東芝への同情はない

▼日本人はいつの世も、のど元過ぎれば熱さ忘れる、相手は変われども、長いものには巻かれろである。