2022年4月3日(日)

▼官民で新規採用者を迎える式典が開かれた。コロナ禍やウクライナ侵攻を受けて民間経営者のあいさつに危機感がにじみ、官庁との違いが際立つ。新人代表の決意表明も、県の場合、公務員の悪習とされる前例踏襲を戒め、一見勝之知事が長期計画で打ち出した「強じん」「美し国」への貢献に意気込む。早くも公務員気質が芽生えている

▼「県民のためを判断の軸に」「間違いを恐れない」という知事の期待が「高い志」の具体的柱であることは、これから自身の言動で教えていくことになろう。幹部職員らの新年度のあいさつでは「県には県のやり方があるのはその通りだが、最善の方法かは考えなければならない」

▼その際国や民間を引き合いに出すのは「他のやり方を経験した人間として、それを紹介したいという思いから」。上から目線で、当然ながら誤解を受けているという。「言い方が悪かったことは大いに反省。言い方を変えなければならない」。責任は、言い方にあり

▼かつて北川正恭知事は公務員の巧みな手口について「倉庫の奥から埋もれた資料を探し出し、このことがあるからと、できないことの言い訳にする」。一見知事が国や民間を口にするのも似たところがあるのだろう。退職部長に「官僚的」という知事評はいかにと聞いたことがある―「そういう声は聞きますね」。昔、上司の頭の固さを酷評したら別の良い面をあれこれ説明してくれた。随分違う気がした

▼言い方を変えたら〝誤解〟が解けるという性格のものかどうか。新職員の洋々たる前途に、黒雲が手ごわく漂っているのを感じた。