2022年4月1日(金)

▼年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず―花は毎年変わりなく咲くが、人は年ごとに変化していく。人の世ははかなく移りやすいの意味も。人事異動の時期に思い出す言葉だが、自然が変わりなくというのは今の時代、素直に受け入れられないかもしれない

▼県庁の人事が発表された。一見勝之知事は「新型コロナや観光、災害即応などで、それぞれに経験がある人を配置した」。また「あまり日が当たらない所でもしっかり仕事をしている人に光を当てるようにした」。的確に弁別できているかはともかく、とすれば、新任知事の初人事として、異例なほど特徴がないことの説明にはなっていよう

▼代わって、退職幹部紹介の本紙企画『お世話になりました』は例年に見られないほど個性が躍動している。女性部長が2人登場するのも初めて。中山恵里子子ども・福祉部長が「入庁当初、ずっと主事のままだと思っていた」、岡村順子環境生活部長は部長拝命を感謝し「女性が幹部になると、多様な見方が出てくる」。はっきり言える時代になった

▼加太竜一医療保健部長の「正直言うと新型コロナの対応ばかりで、他のことはなかなかできませんでした。このまま職員人生が終わるのかという感じ。全うしたという実感はありません」というのは理屈抜きにおもしろかった。知事や部長のために仕事をするのではないという後輩への言葉もいい。本音が加太流で爆発している

▼知事がコロナの「再拡大阻止重点期間」終了宣言とともに「みえ得トラベルクーポン」の開始を発表。思いは、同じということかもしれない。