2021年2月5日(金)

▼新型コロナウイルス感染症に関する人権相談に対応するプラットフォーム会議が今日発足する。差別や誹謗中傷などの被害を受けた感染者に対し、専門的な見地から解決策を助言するという。時宜を得た組織である

▼国の「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ」の委員として、鈴木英敬知事は新型コロナ対応の特措法には「差別」や「偏見」の文言がないと指摘してきたが、採用されなかった。意地もあったのかもしれない

▼重大な人権侵害が懸念される場合、速やかに対応案を提示するなど、迅速かつ的確に解決につなげていく。感染者とその家族、医療従事者などが対象で、環境生活部など県組織のほか、県警、津地方法務局、県人権擁護委員連合会、三重弁護士会がメンバー

▼鈴木知事は「感染者はショックを受け、周囲に助けを求めにくい。関係機関の力を活用して速やかに対応案を提示するなど、被害者に寄り添った対応をしたい」

▼その割に、差別を受けてきた当事者団体も心理、心療の専門家もいないことが気にはなる。いじめや虐待、ストーカー被害、人権などで、被害者の訴えに対応が不十分だったとされた組織が大半を占めていて果たして寄り添うことができるのだろうか

▼こわもてのメンバーぞろいではある。むしろ、法や制度を駆使し〝加害者〟にコラッと叱りつけるのにうってつけだろう。県民の言動を検閲、監視するのが得手の組織と言えば分かりやすい

▼特措法改正では罰則が閣議決定された。思い通りにならぬ市民には骨身にこたえる強力な武器で―と考える時代である。