2020年6月11日(木)

▼新型コロナウイルス感染症の影響で開催が危ぶまれる鹿児島国体への対応で、鈴木英敬知事は来年以降の開催県の意見も尊重するよう求める要望書を、三重国体以降の3県と連名で近く文科省などに提出する

▼「日本全体で見て影響が少ない結論」を求めるという一方で、4県は「天皇杯皇后杯の獲得を目指して取り組んでいる」「4県に影響が少ない結論」をとも

▼日本中で予選会が延期されている状況を踏まえ、予定通りの開催は困難と鹿児島知事は言い続けている。これに対し、鈴木知事は1日、「鹿児島が何か悪いわけではない」としつつも、予定通りを主張し「鹿児島だけが準備をしてきたわけではない」。本音は明らかである

▼コロナ禍で中止になったスポーツ大会の代替開催案が相次いでいる。県教委と県高野連が県独自大会実施を発表した。競技種目を絞り込むことに「生徒の安全を第一に考えての結論だが、大変いたたまれない気持ち」(木平芳定・県教育長)

▼岩出卓・県高野連会長も特に高校3年生に向けて「100パーセント満足といえるものではないが、区切りとなり、次のステージに進むためになれば」。スポーツ元年を唱えるなどの県構想、日程厳守が前面に出て、競技者への思いがにじみ出ていないのが、要望提出の知事意向と言えようか

▼知事は今度は鹿児島県に「我がごとのように心が痛む」。予定通り開催の主張も引っ込め、本音を後退させた。4県の〝事情〟が印象づけられてはせっかくの「いろんな方策」も県民に色眼鏡で見られ、開催の狙いは半減するかもしれない。老婆心ながら―。