2019年10月10日(木)

▼県政運営計画に病床数の削減目標を設定する方針に、県議会常任委で懸念の声が相次ぎ、福井敏人医療保健部長が「質の高い医療提供体制を構築するためで、削減ありきではない」

▼懸念の声とは「県の課題は医師の確保や地域偏在の解消で、病床の整理が最優先でないはず」「病床数を目標に置くのは違和感」など。要は、目標ならほかに大事なものがあるだろうというのだが、対して「削減ありきではない」の答弁は語るに落ちた気がする

▼国が医療費抑制策として令和7年の病床数削減目標を打ち出したのは平成27年。それを受けて県は8地域で地域医療構想調整会議を発足させたが、国は9月、県内7病院を含む全国公立・公的病院の再編統合方針を発表した

▼根拠のデータが27年のままで、相変わらずのずさんさだが、県はせき立てられた気になったか。慌てて削減目標設定に動いたと勘ぐられているのではないかと勘ぐっての「削減ありきではない」発言なのだろう

▼「質の高い医療提供体制の構築」は国のお題目を継承しているのだが、今ごろ「県医師確保計画」だの不足地域への派遣だなどと言っては鼎の軽重を問われる

▼県医師会が医師充足率を調査し、まずまずの結果を得たのは昨年だが「他県に比べればという話。地域偏重が大きい」と理事。三重大医学部に設定した地域枠も「守らない卒業生がいて。罰則はないし」

▼最近の若者は、というだけでなく、高度な実習を積める機関がないのも理由という。「これで働き方改革などと言っては地域医療の崩壊だ」と同会副会長が声を荒げていた。