2019年10月9日(水)

▼デビュー戦で4連続三振―といえば長嶋茂雄選手と金田正一投手の球史に残るエピソードだが、テレビ桟敷で直接見ていないのはなんちゃって巨人ファンのせいか、代わって脳裏に焼き付いているのは昭和39年の巨人阪神乱闘事件だ

▼王貞治選手への度重なる危険球で両軍殺気立ち、デッドボールで倒れてこの日二度目の乱闘になった。真っ先にベンチを飛び出し、マウンドに駆け寄るや飛び蹴りを見舞ったのが金田投手だった。長嶋選手はネクストバッターズサークルから動かず、再開直後本塁打を放った

▼2人のそれぞれの〝勇姿〟は少年の心をわくわくさせたが、この時の一度目の乱闘で巨人荒川博コーチと殴り合った阪神バッキー投手が指を骨折。選手生命を絶たれている。澤地久枝著『あなたに似たひと―11人の女の履歴書』で金田投手の前妻榎本美佐江のことが書かれていた

▼金田投手は家で綿入りのサポーターを左腕から離さず、肩が冷える可能性のある行為をすると榎本を容赦なく殴りつけた。小柄な榎本は吹っ飛び、生傷が絶えなかったという。乱闘でも左手をタオルで巻いてから飛び出すといわれたが、あの時もそうだったか。その上での相手投手への飛び蹴りだったか

▼日本を代表する実業家渋沢栄一に妻妾同居などの逸話がある。妾宅を訪ねた人が応対に出た女性を孫と間違え恐縮したと書いていた。論語を解説した著書を読んだことがある。今さらながら苦笑させられるが、今度はお札の顔になるらしい

▼死ねば皆仏さま。日本の伝統、厳として国政にあり。昔も今も勝てば官軍の国である。