2019年10月8日(火)

▼県立高校の入学願書がら性別記入欄を廃止することについて、廣田恵子教育長は「性別に書きづらさを感じる人が一人でもいるのであれば、あり方を見直す必要があると考えた」

▼県が性的少数者に配慮して申請書などの様式を見直すよう全庁に通知したのが平成28年。必要と考えるまでずいぶん時間がかかったものだが、県自身も、職員採用試験で性別欄を廃止したのが今年。こちらが大きく関係したか

▼中学校が高校に送る調査書には性別欄を残すというから本音は見え隠れする。「事務的な形では必要」だそうだが、厚生労働省の指導に反し面接で家族構成を尋ねたり、同欄のある自社製履歴書を提示する企業が少なくないようなものだろう。「空欄も認める」という。高校側の意図を承知で空欄にする中学校があるかどうか

▼公益財団法人反差別・人権研究所みえの27年の調査によると、県教委は性別少数者についての研修も配慮もほとんどしていない。教職員の0・3%(八人)が性別少数者の可能性があるともしている

▼県が「障害者」の表記を「障がい者」に改めたのは15、六年。視察した学校で「害」の字を使うことで傷つく児童生徒がいたことを知った教育委員が使用を取りやめたのが全庁に広がったが、当事者団体の間で賛否は割れた。反対の代表的意見は「これで障害者対策を何かやった気になられては困る」

▼県教委の障害者雇用率が全国ワースト5だったころの話。今、その水増しや差別事象の数々が指摘されている。性的少数者対策についても、何かやったような気になられては困る。