<参院選みえ・攻防の裏側>肩書消えても威力健在 岡田克也・衆院議員

【行き交う通行人や車に手を振る岡田議員=近鉄四日市駅前で】

13日夕、小雨のそぼ降る近鉄四日市駅周辺の街頭で、傘も差さずに通行人らに手を降る衆院議員岡田克也(66)の姿があった。四日市市は地元選挙区でもあり当然、新人候補の芳野正英より岡田の方に人は集まる。

「あ、岡田さんだ」。気づいた家族連れらの求めに応じ、にこやかに記念撮影に応じる場面もあった。

また別の日。先月末に同市内で開いた演説会では開始前から会場入りし、先頭に立って来場者を案内していた。

後方に座っている人には「さあ、前が空いてますから」と促し、席が埋まると自らパイプ椅子を並べて「こちらへどうぞ」。小まめに世話を焼く岡田がいた。

今回の参院選で、岡田はいつになく県内に張り付き、芳野の応援に奔走している。候補者として擁立した昨夏以降、岡田が芳野とともにこなした街宣や座談会は、実に200回以上に上る。

3年前の参院選では旧民進党代表として、県内候補を当選に導いた。長年党の要職を務め、国政選挙となれば遊説で全国を駆け巡る。自身の選挙も含め、県入りできるのはわずか数日、ということも多かった。それでも3年前は代表進退を賭けて戦い、6年前に失った県内議席の雪辱を果たした。

ただ、今回は様相ががらりと違う。平成29年の前回衆院選で民進が分裂したのを機に無所属になり、華々しい肩書きは消えた。県外を飛び回る回数も減り、公示期間中の17日間で県内を留守にするのは6日間ほど。

「旧民進党議員の中には、岡田さんや野田さん(佳彦元首相)らへの反発が根強い」と元民進党関係者。民進の前身、民主党政権が瓦解した際に中枢にいた岡田らに対し、今も「戦犯」として拒否反応を示す向きもあるという。

そんな岡田に「もう終わった人」(同)と冷ややかな声も。自民党関係者からは「宇治山田駅前で見かけたけど、オーラがなかったね」。

しかし、本人から〝落ち目感〟は滲み出てこない。「岡田さんは権力の側にいてもいなくても、偉ぶらず、まったく態度が変わらない希有な人」(地元県議)

陰りが見えたとはいえ、県内選挙では依然、「岡田ブランド」は健在で威力を発揮。「当初予定に入れてなかったが、支持者からのたっての頼みで伊賀に行ってもらうことになった」と陣営幹部。今なお地元以外でも顔が売れている県内随一の存在でもある。

本当に岡田の時代は終わったのか。少なくとも参院選では代表であろうがなかろうが、「あれほど人のために選挙を支援する人はいない」(同)という愚直さで突き進む。(敬称略)