【まるみえリポート】ネット活用の選挙戦、SNSを支持拡大に PR手法さまざま、落選運動にも

【選挙運動の様子を撮影する陣営スタッフ(右)=四日市市諏訪栄町で】

インターネットを使った選挙運動が解禁されてから、5回目の国政選挙を迎えた。現新三つどもえの戦いとなった参院選三重選挙区(改選数一)では、街頭演説や個人演説会など従来の選挙運動を中心としつつも、各陣営が会員制交流サイト(SNS)などで情報発信し、支持拡大に活用。インターネット上での選挙運動を活動の中心とする候補者も登場し、盛んなPR合戦が展開されている。

候補者の個人演説会や街頭演説の現場に行くと、スマートフォン(多機能携帯電話)で写真や動画を撮影する陣営スタッフを目にする。写真は別のスタッフと共有し、編集した上でSNSなどに投稿。街頭演説を実施する会場や時間などの予告も発信している。

再選を目指す自民党現職の吉川有美氏(45)の陣営は、短文投稿サイト「ツイッター」や交流サイト「フェイスブック」、写真共有アプリ「インスタグラム」を活用。無料通信アプリ「ライン」は友達登録が必要で「扱いにくい形態」と判断し、活用していない。

吉川陣営は各媒体を小まめに更新。吉川氏が演説する姿だけでなく、街頭演説で訪れた場所や演説会場にいた動物など写真映えを意識した投稿もある。12日に来県した安倍晋三首相の動画は文字起こしと一緒に投稿し、閲覧回数を稼いでいる。

野党統一候補で無所属新人の芳野正英氏(44)の陣営は、吉川陣営と同じ3媒体に加えてラインも活用。吉川陣営がラインの運用で課題に挙げていた友達登録への誘導は、法定ビラにQRコード(二次元バーコード)を掲載することで解決を図っている。

このラインのアカウントが一元的な窓口を担う。友達登録すると経歴やPR動画が閲覧でき、他のSNSのアカウントを案内。SNSの中ではフェイスブックを最も頻繁に活用し、街頭演説などの様子を短い動画やスライドショーにまとめて投稿している。

吉川、芳野の両陣営がインターネットでの選挙運動を補助的なものとして活用しているのに対し、NHKから国民を守る党の新人門田節代氏(51)はむしろインターネットが主戦場。「6―7年前からニコ生(ニコニコ生放送)をやっている」ほど精通する。

ツイッターでのフォロワー数は約2600人(14日現在)で、3候補の中で最も多い。動画サイト「ユーチューブ」に投稿された政見放送は、転載分も含め14日午後5時までに65万回以上再生されるなど拡散力はほかの追随を許さない。

ただ、インターネットは他候補を落選させるための運動にも活用されている。県内でも、ある候補を支援する団体が別の候補に投票しないようSNSで投稿。落選運動をされた側の候補が、団体やその支援を受ける候補に対して抗議する動画を投稿する事態に発展している。

インターネットを活用した選挙運動は、平成25年4月の公職選挙法の改正で解禁された。候補者や有権者がインターネット上で選挙運動することができるようになった一方で、有権者が電子メールで特定候補者への投票を呼び掛けることは規制されている。

インターネット上の落選運動について、県選管の担当者は「投票しないよう呼び掛けることはできるが、連絡が取れるメールアドレスなどの表示が必要。虚偽の宣伝は刑法上の問題が出てくる」と説明。他者からの指摘や反論を受ける体制を整えることが必要という。

法改正から6年が経過したいまもインターネットでの選挙運動は発展途上だ。知事選でネットを活用した鈴木英敬知事は「どこまで関心をつかめているのか(が大事)」と指摘する。閲覧数やフォロワー数がそのまま票に結び付くとは限らないが、インターネットは「終盤の盛り上がりを作る大事なツール」(自民党関係者)。後半戦を迎え、ネット上の活動もさらに盛んになるとみられる。