<地球の片肺を守る>熱帯林の国、現状伝える コンゴ民主共和国

ボンジュール! 私は今、コンゴ民主共和国の首都キンシャサで、このコラムを書いています。今年10月、日本の農林水産省からコンゴ民主共和国の環境省に、森林・気候変動対策のための政策アドバイザーとして派遣されました。

ところで読者の皆さんは「コンゴ民主共和国」をご存知でしょうか。コンゴ民主共和国は日本の約6倍の国土と8000万人を超える人口を有する中央アフリカの大国です。先般、内戦による性被害女性への献身的な支援活動でノーベル平和賞を受賞したデニス・ムクウェゲ医師は、このコンゴ民主共和国出身の方です。

今、コンゴ民主共和国では、最悪の感染症の一つであるエボラ出血熱が東部紛争地域において流行中であり、日本を含む国際社会の緊急的な支援を受けて現地で対策が進められています。また、その国土には電気自動車の生産に欠くことのできないコバルトのほか、金、銅やダイヤモンドなど世界有数の鉱物資源が埋蔵されています。

さらに、ブラジルに次いで世界第2位の規模を誇る熱帯林が広く国土を覆っています。この熱帯林は、南米アマゾンと並んで「地球の肺」と呼ばれています。すなわち、われわれ人類が持続的に発展を続けていくための鍵を握る国、それが「コンゴ民主共和国」なのです。

現在、この国には外務省から不要不急の渡航を中止するよう要請が出ています(一部地域は、渡航中止勧告又は退避勧告)。このため、当地に在留する日本人は、大使館や国際協力機構(JICA)の職員、そして私のような国際協力に従事する専門家など、わずか70名ほど(外務省、2017年7月現在)。当地の厳しい現状について、できるだけ多くの日本の方々に理解していただきたいと願う一方で、そのための情報が大変不足しています。

こうしたことから、コンゴ民主共和国の現状、私の専門分野である熱帯林の保全やアフリカでの国際協力業務などについて、少しでも理解を深めていただければと、隔週で筆を執らせていただくこととなりました。どうぞよろしくお願いします!

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三重県伊勢市出身で、日本政府から中部アフリカのコンゴ民主共和国政府に派遣されている大仲幸作氏のコラム新連載「地球の片肺を守る~コンゴ民主共和国環境省に赴任して」が、きょうからスタートします。

大仲氏は同国環境省事務次官の森林・気候変動対策に関する政策アドバイザー。地球温暖化防止に向け、「地球の肺」と呼ばれるコンゴ盆地の熱帯林保全を支援するのが主な任務です。内戦を経て不安定な政情が続く同国の現状と、地球温暖化対策の最前線での国際協力を伝える大仲氏のコラムにご期待下さい。

【略歴】おおなか・こうさく 昭和49年生まれ、伊勢市出身、三重高校卒。平成11年農林水産省林野庁入庁。北海道森林管理局、在ケニア大使館、マラウイ共和国環境・天然資源省、林野庁海外林業協力室などを経て、平成30年10月から森林・気候変動対策の政策アドバイザーとしてコンゴ民主共和国環境省に勤務。アフリカ勤務は3カ国8年目。