2018年8月26日(日)

▼中部電力尾鷲三田火力発電所跡地を活用する市、中電、尾鷲商工会議所の協議会がいよいよ始まった。中電副社長で「発電カンパニー」の小野田聡社長は「自治体と地元産業界、電力会社が知恵を出し合って地域の発展に寄与する仕組みをつくっていくことは全国的にも大変珍しい取り組み」とした上で「国内の先駆けとなるエネルギー利活用のモデル地域を目指したい」。期待に胸がふくらんでくる

▼中電の電力施設は数多く見学したが、芦浜原発計画を取材した関係で、記憶に残るのは静岡県御前崎市の浜岡原発。電力施設だけでなく、電源三法交付金を活用した市民のための各種施設や漁協、商工関係者との懇談も体験したが、そのたびに中電から地元自治体の財政や、地域社会、経済にいかに貢献しているかの説明を聞いた。だから芦浜原発の地元もという論理になるのだが、原発立地ならではの地域貢献とはまた別ということなのだろう

▼協議会の下に市、中電、商議所の三者がそれぞれリーダーとなる「市民サービス・文化・観光」「エネルギー」「農林水産業・商工業」の部会を設け、代替エネルギー設備を活用する産業施設などを配置したイメージ構想図案も紹介された。単に広域のゴミ処理施設やバイオマス発電所、排熱を利用した魚類養殖施設にとどまらぬという中電の意気込みを感じさせる

▼尾鷲三田火力は、建設を指揮した三田民雄元副社長の名前を組み入れた全国的にも大変珍しい発電所である。その子、三田敏雄氏が現在の中電会長。地の利はともかく、天の時にはかなっているのかもしれない。