2018年8月19日(日)

▼県も国も、公務員のモラルの低下をうんざりするほど見せられる今日この頃だが、さすが国はスケールがでかい。地方が懸命に競っている障害者雇用率を、中央省庁は制度開始から42年間、水増しすることでクリアしていた。地方はどうか―共同通信の取材で県の名が上がらなかったのにほっとしたのも情けないが、法定雇用率が民間より高いため「人材確保が難しい」という自治体代表として「三重県の担当者」が登場している

▼「民間も障害者の採用に意欲を示し、競争が激しくなっている」というのだ。「担当者」とは職員採用を担当する人事委員会か、民間への障害者雇用を啓発する雇用経済課か

▼平成25年度に1万4000社を対象に実態調査をした結果について、鈴木英敬知事が語っている。どういう仕事をやってもらったらいいか、できるのかが分からないとの回答が75%。「リアル感への理解が進んでいない。(障害者が)できない仕事ってないと思うんです。どういう仕事ならできるのか、しっかり切り分けきめ細かくやっていくということ」が必要と言うのだ

▼「企業及び県民の障害者雇用への理解をさらに深め」と語ったのが昨年の県議会。企業を指導するみたいな話だったが、すでに「人材難」と言うのでは、国とは別の意味で企業に申し訳がなくはないか。県の障害者雇用は車いす利用の身障者中心で、視覚障害者はゼロ。仕事に対応できる障害者を雇用するだけで仕事を「切り分けた」形跡はない

▼数少ない障害の種類に官民が殺到している構図が「担当者」の言葉で浮き彫りになっている。