2018年8月10日(金)

▼ボクシングの世界タイトルマッチに日本中が興奮した時代に少年期を送ったので昭和39年、タイ・バンコクで開いた世界フライ級王者海老原博幸のポーン・キングピッチ(タイ)とのリターンマッチで優勢とされた海老原が判定負けした試合は、見てきたように脳裏に焼き付いている。ボクシングは判定になると開催国の選手が圧倒的に有利。ホームタウンディシジョンというものだという解説とともに

▼日本ボクシング連盟の山根明会長を巡る混乱で、アマチュアの大会では同会長の出身県、奈良県の選手が判定では絶対に有利になる「奈良判定」というものがあると聞かされ、昔ながらの慣習がまだ生きているのかと恐れ入ったが、さまざまな疑惑に答えるとしてテレビに出演した同会長を見て何とまあ、前時代的な雰囲気を漂わせた人か、と思った

▼助成金を対象者が独り占めするなどはもってのほか、みんなで仲良く分けて何が悪いということである。金メダルは助成金からではなく「世界の山根」の力から生まれると確信しているのではないか。ボクシングが興業として裏社会の手配に頼っていた名残も色濃く残している

▼女子レスリングやアメリカンフットボールなど「ボス支配」が次々浮き彫りになった。今度はボクシングだが、構図は今回が一番分かりやすい。かつての柔道を含め、ボクシング界の構図が全てに共通する構図ということである。スポーツ団体に大なり小なり存在する構図でもある

▼寝食を忘れ傾注した成果が業績として評価される。構造的に公私混同が尊敬、畏敬される世界なのである。