2018年8月9日(木)

▼児童虐待の早期発見へ、県は関係機関が連携する協定を県警や全市町と結んだ。関係機関が情報共有するために各市町に設けている要保護児童対策地域協議会(要対協)実務者会議に半数程度だった警察の参加が全市町に拡大されるという

▼「児童虐待に係る関係機関との情報共有に関する申合せ書」を警察と締結したのは昨年3月。同年度の児童虐待相談対応件数が過去最多になったのは、締結に伴う警察からの相談件数が大きく増加したためとされるが、それでも要対協への参加が半数程度だった。狙いは警察との情報共有の強化ということか

▼県が警察と児童虐待防止で初めて申し合わせを結んだのは平成13年。同22年鈴鹿市で、同24年桑名市で、それぞれ重大事件が発生したが、検証委員会の報告では、関係機関との情報共有の必要性が指摘され、児童相談所のスキル不足を厳しく問うている半面、警察の責任はむろん、役割にも触れることはなかった

▼東京・目黒で今年3月、五歳の女児が父親からの虐待で死亡した事件は、自分を責めるノートの言葉とともに多くの国民の胸を打った。国、地方をあげて関係機関の早急な対応が求められている。「全国に先駆けた協定」と鈴木英敬知事が胸を張った。町村会の谷口友見会長(大紀町長)は協定を評価しつつ「行政では見えない部分もある」

▼「全国に先駆けた協定」は、昨年3月の「申合せ書」では全うできなかったことを補う協定でもある。「さまざまな機関の情報共有が大事」(鈴木健一市長会会長)であるとともに情報認識の共有が課題である。