2018年8月5日(日)

▼自己責任に帰着するものを法律で制約するのはおかしい、という説に共感してシートベルトの取り締まりに何度も引っかかり、免許更新は講習組の常連だった

▼講義はなるほどと得心することが多かったが、今も覚えているのは「想像力」という教えだ。あの角からボールが転がってくるかもしれない、それを追って子どもが走り出てこないか。交通規則を守るだけではなく、まだ見えていないだけかもしれない事態に備える気持ちを持っていなければ事故は避けられないというのである

▼高齢者講習では利き腕ならぬ「利き目」という言葉を知った。両腕を目の高さで伸ばして親指と人さし指で三角形をつくる。交互に片目をつぶり、三角形内の景色が両目とそう違わない方が利き目だ。視界が広いということであり、逆の目は狭いということだ。狭い方の側にちょっと注意する運転習慣を身につけることが、危険の接近を見逃さずにすむというのである

▼交通事故死亡者が前年同期比で一進一退を続けている中で、このところ警察官の事故が続く。奉納花火大会の雑踏警備の伊賀署のパトカーが7歳児をはねた。雑踏警備で子どもの飛び出しへの想像力は働かなかったか。運転免許センターの教官は内部講習に活用されているのだろうか

▼この間、赤信号の横断歩道をお年寄りが自転車で悠々と渡っていくのを見た。次の赤信号は停車したから、たまたま気づかなかっただけなのだろう。交通だけでなく、高齢者への啓発も、実践的な豆知識を中心にした一口メモのような話で構成すれば、注意力の強化になるに違いない。