2018年8月4日(土)

▼性的少数者(LGBT)施策を疑問視する寄稿を月刊誌に掲載した杉田水脈衆院議員が、自民党から「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた」などと注意され「真摯に受け止め、研さんにつとめる」とコメントした

▼「間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」などと大臣クラスや先輩から声をかけられ「自民党に入って良かった」などとネットに書いていた勢いはない。安倍晋三首相に「多様性が尊重される社会を目指すのは当然」という認識を示され、万事休すか

▼何しろ杉田議員の寄稿「『LGBT』支援の度が過ぎる」は、月刊誌『新潮45』の特集「日本を不幸にする『朝日新聞』」の七つの論文の一つとして掲載された。朝日批判が目的の第一。そのために杉田議員はLGBT支援問題を取り上げたということだろう

▼県の男女共同センターが調査した高二対象のアンケート結果も引用されているが、あくまで朝日の記事としてであり、現物に当たった気配はない。「世の中やメディアがLGBTと騒ぐから『男か女かわかりません』という高校生が出てくる」という具合。行政支援も、朝日が取り上げるからという論法だ

▼杉田議員が「朝日批判特集」に名を連ねたのは、安倍首相の朝日嫌いを意識したからではないか。国会で朝日批判を繰り返す首相に、朝日中堅幹部は「つぶす気なのではないか」と危機感を口にした

▼朝日は杉田発言を連日攻撃した。自民VS朝日の側面は否定できないが、首相はさっと身を翻してしまった。杉田議員としては鳩が豆鉄砲をくらった心境かも知れない。