─頑張る女性に元気を─ フェイシャル&ネイルサロン「ANRi(アンリ)」社長 伊藤和歌子さん

【「女性として輝いていただくためのサポートができたらうれしい」と話す伊藤さん=鈴鹿市白子町で】

鈴鹿市白子町の「アンリ」は、同市江島町でエステサロンとして平成12年に創業した。同15年に同市秋永町に移転し、法人化を経て同23年に現在地に本社を移し、翌24年には津市鳥居町に津支店を開設した。

「頑張っている女性の心に元気を届ける」をモットーに、スタッフ5人と共にフェイシャルエステとネイルケアで心を込めた施術をしている。

気になるたるみやしわ、しみ、日焼け後のトラブルなど、お客様の肌の悩みや相談を受け、症状に沿った改善メニューを提案する。クレンジング、洗顔、オリジナルマッサージ、パック、乳液仕上げに加え、要望によって生コラーゲンや幹細胞ケア、水素ケアなども併せて施術する。「ほうれい線が薄くなり、肌が潤ってきた」「肌色がワントーン明るく、白くなった」などの喜びの声が、スタッフ全員の励みになっている。

ブライダルエステでは、結婚式を控えた女性に1回から7回のメニューを選択してもらい、フェイシャルエステやネイル、デコルテ(首筋や胸元)ケア、顔や背中のシェービングなどの施術をする。「丁寧な対応でリラックスできた」「肌ツヤツヤで大満足」と好評を得ている。

津市河芸町で3人きょうだいの長女として生まれた。幼少時から絵を描くことが好きで、小学校の絵画コンクールで賞をもらい、「大きくなったら漫画家になる」と夢見ていた。小5の時、弟が生まれた。その半年後に母が亡くなり、祖母と2人で妹と弟の世話をするようになった。

中高一貫のセントヨゼフ女子学園から愛知女子短期大学(現・名古屋学芸大短期大学)美術科に進学した。卒業後は、東京で漫画家のアシスタントをしながらデビューを目指したかったが、父が経営するスポーツ用品店の業績が落ち込み、店を手伝うことになった。

5年後、借金を抱えて店は廃業。その後は、借金の返済のため携帯ショップや飲食店などで夢中で働いた。しかし完済までの道のりは遠く、使われる側ではなく経営者になることを模索し始めた。使っていた化粧品をきっかけに、化粧品販売に美容エステをプラスしたエステサロンを思い立ち、友人と2人で起業。自身は代表、友人は店長として挑戦を始めた。

「エステ」という言葉がまだ聞き慣れなかった当時、チラシのポスティングや折り込み、口コミなどで少しずつ来店者が増えてきた。開業から3年目、松阪市の結婚式場から「ブライダルエステ」をやってほしいという依頼があり、鈴鹿と松阪を行き来するようになった。

県内初だった「ブライダルエステ」が大好評で、四日市、鈴鹿、津市などの結婚式場からも次々と依頼が来るようになり、スタッフを増やして対応してきた。コロナ禍で結婚式が激減したが、一般のエステ利用者はあまり減ることはなかった。

スタッフらは幼稚園や学校の行事、子どもの急な発熱などで休みを取る時は、全員でフォローし合い、女性が働きやすい職場環境づくりを整えている。

義母(80)と夫(55)、長女(17)、次女(12)の5人と愛猫の蘭と暮らしている。毎朝6時に起床し、畑仕事、朝食とお弁当作りをして夫と娘たちを送り出し、蘭の世話をして出勤するのが日課。「家族皆が明るく、元気でいてくれることに感謝。家庭が最高に心安らぐ場です」と話す。

令和3年、県内の女性起業家コミュニティ「wiz:」に入会し、多くの女性経営者らとの学び合いと交流を通して視野が大きく広がった。昨年から、起業家向けのセミナーやイベント企画などを支援するレンタルスペース「自由空間アンリプラス」の運営を開始した。

「地域の女性が集って、互いに元気を分かち合えるような交流の場を作り、女性として輝いていただくためのサポートができたらうれしい」と語った。

略歴:昭和47年生まれ。平成4年愛知女子短期大学美術科卒業。同年家業に入社。同12年「ANRi」創業。同24年「ANRi」津店オープン。令和3年県女性起業家コミュニティ「wiz:」入会。同4年「自由空間アンリプラス」開設。

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