―少年期に長崎大水害を経験― あいおいニッセイ同和損害保険株式会社三重支店長・日本損害保険協会三重損保会会長 加藤亮二さん

【「誠意を尽くしていくことが大切」と話す加藤さん=津市羽所町で】

令和4年4月より、津市のあいおいニッセイ同和損害保険三重支店長に就任。また、今年6月より三重を管轄する日本損害保険協会三重損保会の会長を務めている。

少年時代を長崎で過ごした加藤さん。三方を山、残る一方を海に囲まれた自然豊かな環境で育った。昭和57年に発生した長崎大水害の経験が少年期の印象に残っているという。父親が出先から帰ることができなくなり、母親、兄弟とともに同じ部屋で過ごしたことや、給水車に何度も往復して風呂場に水をため、それを見た父親が涙を流す姿が記憶に焼き付いていると話す。千葉へ転校後の中学、高校時代にはバスケット部に所属しながらバンド活動にも励んだという。学生時代の経験が、自分を前向きにし、体力と自信を付けることにつながったと当時を振り返る。

大学卒業後、平成9年に千代田火災(現あいおいニッセイ)に入社し、15年間営業の現場で過ごす。自動車販売店や代理店、顧客との関係性を大切にしたという加藤さん。「最終的には人間とのやりとりこそが大切になる」という信念で、当時普及しだした携帯電話を片手に、山梨、名古屋、千葉など各地で働いた。愛知の水害や千葉時代には東日本大震災の際の対応業務など、多忙の中でも迅速さ、正確さを意識し業務に臨んだ。

他業種への出向を経て本社の経営企画部に所属し、プロジェクト推進グループで平成28年に立ち上げた同社の「地方創生プロジェクト」に携わる。平成30年、専属部署であるマーケット開発部地方創生戦略室の初代室長に就任し、地域密着を推し進める同社の方針の下、全国の自治体と連携協定を結び地方創生の取り組みを積極的にサポートする部署で手腕を振るった。

「ただ協定を結んだだけで終わりではなく、地域課題解決に向けて具体的にどういう活動をするか。どういったメリットを創出できるか」を常に考えたという。交通安全セミナーや、同社のテレマティクス自動車保険の技術を活用した安全運転イベントの自治体との共同開催、自然災害や火災などの緊急事態に見舞われた際のBCP(事業継続計画)対策を自治体とともに企業に提供するなど、損害保険会社のノウハウを生かした活動メニューは多岐にわたり、現在では全国472(令和5年4月末現在)の自治体と協定が結ばれている。

それらの実績と経験を経て、令和2年、同社の三重支店長に就任。現在は四日市、津、名張の拠点で行われる県内業務を総括している。初めて訪れた三重の印象を「山もあり、海もあり、食べ物やお酒もおいしく住みよい街で人も温かい」と笑顔で話す。

また、今年6月には同社を含めた会員会社8社が所属する日本損害保険協会三重損保会の会長にも就任し、業界全体で損害保険の普及、啓発に尽力している。特に南海トラフ大地震などの災害リスクがある三重の地域性を鑑み、自然災害への対応や、子どもたちや自治体と協力した、ぼうさい探検隊をはじめとする防災・安全教育に取り組み、地域と生活を守るための活動を進めている。

「自分たちが地域のお役に立てていると感じられる瞬間がこの仕事のやりがい」と笑顔で話す加藤さん。今後の展望を「さまざまな地域で多くの方と出会ってきた中で、誠実に、誠意を尽くしていくことが基本であると同時に最も大切なことでもあると学んだ。今後も業界全体で、お客さまのリスクの軽減と速やかな社会復旧という使命を果たしていきながら、誠意を尽くすことを忘れず仕事に励んでいきたい」と力強く語った。

略歴:昭和48年東京都出身、成城大学卒業後、平成9年に千代田火災(現あいおいニッセイ)へ入社。山梨、名古屋、千葉などで業務を経験し、同社の地方創生戦略室の初代室長を務める。令和4年4月にあいおいニッセイ同和損保三重支店長に就任。今年6月、日本損害保険協会三重損保会会長に就任。

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