-顧客の感謝、やりがいに 将来の店舗展開見据える- 「岡村サービス」代表 岡村善将さん

【「将来は店舗展開を考えている」と話す岡村さん=四日市市で】

四日市市九の城町で便利屋業「岡村サービス」を、平成27年に開業した。「掃除、草刈り、剪定、処分、何でもします!」をキャッチフレーズに、起業から4年ほどで仕事を軌道に乗せ、北勢地域を中心に顧客を増やしている。

度会郡で3人きょうだいの長男として生まれた。幼い頃から好奇心旺盛で、立ち入り禁止の砂利山に登ったり、台風で増水した川の近くで遊んだり、近くの人の通報で駆け付けた警察官に注意を受けたことが何度もあった。「今思えば怖いもの知らずの悪ガキだった。反省しています」と話す。

度会中学から伊勢工業高校に進んだ。卒業後は、飲食店を営む父を手伝うようになり、翌年には調理師免許を取得した。その後、飲酒運転罰則の強化により客数が激減し、転職を余儀なくされた。

調理師免許を生かせる職を探し、病院食や介護食を提供する富士産業に入社した。営業や施設厨房での調理業務を担当し、仕事の丁寧さを評価され3年目には主任に抜てきされた。「何でもできるね」と、上司に褒められたことが自信になり、起業へのチャレンジにつながった。

その頃、フランチャイズで全国展開をする便利屋の仕事を知り、「これだ」と確信した。市内の便利屋会社を探して起業のための修行をさせてもらいたいと頼み、まずはアルバイトとして働き始めた。前職で培った営業力を生かして業績を上げ、すぐに正社員に登用された。実務と営業で便利業のノウハウを習得し、2年後に町の便利屋さん「岡村サービス」を起業した。

ゼロからの出発。まず草刈り機と電動ドリル、軽トラックを調達、手作りのチラシを近隣に配布して回ることから始めた。反応は少なかったが、依頼された掃除や草刈りの仕事は丁寧にこなし、顧客の立場になってプラスアルファのサービスも心掛けた。少しずつリピーターが増え、口コミでの依頼も多くなった。

ある時、定期的な草刈りや不要品の処分を頼まれていた80代女性の息子から、母が亡くなったと連絡があった。「いつも良くしてくれると母から聞いていたので、最後に遺品の整理をお願いしたい」との依頼に、信頼されていたことへの感謝と寂しさがこみ上げた。

また、買い物代行などで週2回訪れていた高齢夫婦の夫が転倒して大けがをした際にも、連絡が入った。急きょ駆け付け、入院中の世話や家事を手伝った。回復後、「岡村さんのおかげで安心して暮らせる。ありがとう」の言葉に、この仕事を選んで良かったと実感した。

妻麻有さん(38)と長女莉那さん(3つ)、次女柚那さん(11カ月)の4人家族。帰宅後は、娘たちとのお風呂の時間が楽しみ。「おかえり」の言葉と家族の笑顔が仕事の疲れを吹き飛ばしてくれる。

休日がないほど忙しくなったが、仕事がなかった時の事を考えるとぜいたくな悩みだと、多忙な毎日に感謝している。今後は冠婚葬祭のオリジナルビデオ制作などの新規事業を準備しているという。

「お客様に喜んでもらえる町の便利屋として、将来は店舗展開を考えている。また、やる気のある人材を雇用、育成して独立を後押ししていきたい」と展望を語った。

略歴: 昭和53年生まれ。平成8年県立伊勢工業高校卒業。同13年調理師免許取得。同21年富士産業入社。同27年「岡村サービス」創業。