-貸衣装で業績伸ばす 人生の節目、トータルサポート- 「夢小袖グループ」社長 森本晃圭さん

【「信頼関係を築きながら、一生涯のお付き合いをしていける会社を目指したい」と話す森本さん=津市藤方で】

 津市藤方の呉服販売・レンタル「PA―ru―LE(パルル)」とフォトスタジオ「「in style(イン スタイル)」は、母恭子さん(62)が平成14年に同市東丸之内で創業した呉服販売&着付け教室「夢小袖」の姉妹店として、同20年に誕生した。

 振袖や浴衣、七五三衣装などの豊富な品ぞろえに加え、フォトスタジオの併設が人気を呼び、市内を中心に北勢地区からの利用客も増え、業績を伸ばしている。

 津市で共働きの両親の下、2人きょうだいの長男として生まれた。プロ野球選手に憧れて、小3からリトルリーグで野球を始め、高校卒業まで10年間打ち込んだ。高校時代は野球に加え、中学時代の仲間と夜遅くまで街で遊び回っていた。「当時の遊び仲間が、今も仕事面で互いに支え合うかけがえのない友です」と語る。

 卒業後は名古屋市の情報処理専門学校で学び、派遣会社社員として5年ほど企業数社に勤務したが、体調を崩して退社した。その後、「夢小袖」に入社し、母親や先輩社員から呉服販売や着付けについて教わり、経験を積んだ。

 人生で数回しか手を通さない振り袖。買うから借りるへと変化する時代の流れを、ビジネスチャンスだと捉え、貸衣装部門の増設を母に提案。成人式衣装のレンタルを専門とする事業部を任されるようになり、数年で業績を伸ばした。

 平成29年には、同市藤方に夢小袖グループ「パルル」、フォトスタジオ「インスタイル」をオープン。「お客さまの笑顔を一番に考え、満足度ナンバーワンを目指す」をモットーに、スタッフ20人が接客する。洋服と同様に、着物をファッション感覚で捉え、最新流行の色柄を中心に常時400点以上の振り袖を取りそろえている。

 若い女性スタッフらが接客に当たり、古典的な振り袖を好む母親と、流行の色柄を着たい娘さんとの意見が合わない時は両方を試着して決めてもらう。プロカメラマンによる成人式の前撮りロケ撮影から、当日の着付けと美容室手配までトータルでサポートしている。

 式後は、「娘が着たい振り袖にして良かった」「一生の思い出になった」と喜ばれ、「妹の時もこちらで」「卒業式もお願いしたい」などの声が、スタッフ全員の励みになっている。

 妻沙理さん(33)と長男愛久さん(7つ)、長女青杏さん(5つ)の4人家族。仕事で留守にすることが多いが、早く帰宅したときは子どもたちとお風呂でスキンシップし、週1回はそろって食事をするように心掛けている。「仕事を理解し、子育てと居心地の良い家庭を作ってくれる妻に感謝です」と話す。

 今後は、地元の結婚式場やエステサロンなどと連携して共に成長し、顧客満足度のアップにつながるサービスを模索中だという。「宮参りから七五三、入学式、成人式、卒業式、結婚式と、その方の人生の節目節目に関われる仕事。信頼関係を築きながら、一生涯のお付き合いをしていける会社を目指したい」と目を輝かせた。

略歴: 昭和58年生まれ。平成13年県立津工業高校卒業。同20年「夢小袖」入社。同25年「夢小袖グループ」社長就任。同26年津青年会議所入会。