-元請け会社を目指して 入札へ資格取得に打ち込む- 「ワールドクリーン」社長  山口修さん

【「丁寧な仕事で顧客との信頼関係を築いて受注を増やし、従業員に還元していきたい」と話す山口さん=四日市市尾平町で】

 四日市市尾平町の総合ビル管理業「ワールドクリーン」は平成6年、ビルメンテナンス会社の下請け企業として同市小生町で創業。従業員約140人。官公庁や民間企業の設備清掃、空調・電気設備保守点検、警備を手掛ける。北勢地域を中心にエリアを広げ業績を伸ばしている。

 愛知県で3人きょうだいの長男として生まれ、3歳で四日市市に移り住んだ。幼少時に小児ぜんそくを患い、小中時代は屋外で遊ぶより自宅や友達の家でテレビゲームなどをして過ごすことが多かった。

 県立四郷高校に進学し、入学祝いに両親から買ってもらったステレオで音楽を繰り返し聞いていた。卒業後は高校時代にアルバイトをしたホテルに入社し、バーテンダーとして働き始めた。接客は好きだったが、深夜までの勤務は一生続けられる仕事ではないと新たな道を模索した。

 最小限の資金で開業できる清掃会社を思い立ち、高校時代の友人2人を誘って起業。津市のビルメンテナンス会社の下請け業者として、ワンボックスカーに床磨き機やモップなど清掃道具一式を積んで3人で仕事を始めた。だが思うように依頼は増えず、2年目には1人になってしまったが投げ出さなかった。

 床清掃やガラス磨きなど与えられた仕事に全力を傾け、数年で徐々に依頼が増えてきた。1人でこなせなくなった中、助けを求めた中学時代の同級生らが手伝ってくれるようになった。仕事を軌道に乗せることができ、従業員への責任を実感するとともに、一層の発展のため元請けとしてやっていきたいと思い始めた。

 義弟の紹介で四日市青年会議所に入会。会員らとの交流で刺激を受けた。官公庁の仕事を得るための営業や入札への参加など元請け会社を目指す道が見えたと思った。「まず、入札に参加できる資格を取ろう」と決意し、勉強に打ち込んだ。

 ビルクリーニング技能士を手始めに、清掃作業監督者資格、建築物環境衛生管理技術者免状などの資格を取得した。平成23年には亀山市の公共施設管理業務の入札に参加し、元請けとして受託。同28年には四日市市総合会館の管理業務も任されるようになった。

 父昇さん、妻麻奈美さん、長女香澄さん、長男晃さんの5人家族。「仕事の疲れを癒やし、心から安らげる家庭を作ってくれる妻に心から感謝です」と語る。

 従業員には社費での資格取得を奨励し、プロの誇りと充実感を感じられる仕事にしてもらいたいと考えている。「丁寧な仕事で顧客との信頼関係を築いて受注を増やし、従業員に還元していきたい」と語った。

略歴: 昭和49年愛知県生まれ。平成5年県立四郷高校卒。同6年「ワールドクリーン」創業。同21年四日市青年会議所入会。同26年丸杉総業社代表就任。同年亀山市商工会議所青年部入会。令和元年四日市ロータリークラブ入会。