月の光

    あなたの魂は、選り抜きの風景のようだ、

    魅惑的な身ごなしで、リュートをひき、踊りながら、

    そこを過ぎるとりどりの仮面やベルガモの衣装、

    幻想的な仮装のしたでそこはかとなく悲しげに

    恋の勝利やめぐまれた人生を

    短調で歌いながらも彼らには、

    おのれの幸福を信じている様子もない、

    その歌は、月の光にとけてゆく。

    梢の鳥たちを夢みさせ、

    大理石の像のあいだの、ほっそりとした

    噴水を、うっとりとすすり泣かせる

    悲しげで美しい、あの静かな月の光に。

        — ポール・ヴェルレーヌ ”艶なる宴”より

皆様ご存知の通り、ドビッシーは、ヴェルレーヌのベルガモにて詠んだ、この詩に曲をつけたのでした。北部イタリアはロンバルディア平原の田園地帯にあるこの城郭都市は、周囲の平原から隔絶された城壁の上に屹立しています。

 幾多の外敵との攻防戦を見つめていた城門を超えると、広場に出ます。広場にある泉を見ながらベルレーヌは詩を詠み、後にド  ビッシーはこの泉を訪ね曲想を練り、、GANESIAは「月の光」を求めて巡り来ました。

 荒涼たる広場に、土井晩翠の「荒城の月」を想い、涙したのでした。(俳句を読んだ)