2022年7月19日(火)

▼県に麻しん(はしか)の感染が拡大したのは平成31年1月からだ。前年暮れの津市内の民間団体の研修が発生源とされたが、団体名は公表されず、参加者やその関係者も自身の状況が分からず、参加者49人、二次感染者25人、三次以降20数人と急速に広がっていった

▼翌令和元年9月の「県麻しん集団発生事例報告書」には今後の対応について「全例報道機関に資料提供を行う。また、個人情報に配慮した上で、行動歴等の情報についても事業者等の了解を得たうえで公表することが望ましい」。感染の主因が行政、医療機関はもちろん、県民との情報共有に問題があったと指摘されたのだ

▼その趣旨が新型コロナウイルスの感染で尊重されているという気はしないが、ともあれ、民間団体というのが実は宗教団体だと分かったのは、同団体がホームページで公表してからだ。「(当初は)公表してほしくないと言われて」と当時の鈴木英敬知事が語った。「我々だけで公表するというのは難しいという状況だったが、情報の公表について(団体側と)議論させていただいていた」

▼安倍晋三元首相が銃撃された事件で、容疑者は当初宗教団体への恨みと報じられた。警察も団体名は公表しなかったのだろう。さまざまな名がネットであがる中、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が容疑者の母親が信者であることを公表。以後同団体が報じられてかつての霊感商法の被害者らが「テロは悪いが被害者の事情も理解して」

▼容疑者にも一片の理はあるということか。テロが生まれる土壌は昔も今も変わらない。