2017年8月31日(木)

▼本紙見出しで恐縮だが、先月開いた第一回が「越境入学に有識者賛否」、先日の第二回が「県外入学容認に賛否」。規則に反し県立高校に越境入学していた問題について協議し、来年3月の入試制度方針に反映させるという入試制度検討会である。牛歩と言えようか

▼「親の転居を前提とする今の制度をきちんとすべき」から「募集枠設定をどう考えるか」「定員割れとそうでない高校を同一に議論するのは難しい」など、議論はばらばら。「仕事を営む立場から優秀な学生が育ってほしいので県外入学を認めて」と、教育と人手不足解消の実利を見事に一致させた論まである。スポーツで越境入学してきた生徒が、卒業後ほとんど県内に残っているまいと推定されるのはご愛嬌である

▼収拾がつこうがつくまいが後四回ほどで県教委の意図通り答申案をまとめる作業に入るのが検討会の役割か。会長に目立った発言がないのはその時のためか。大学教授が議論をリードしない不思議な検討会ではある

▼越境入学を見逃してきたばかりか、教職員がOBぐるみ抜け穴づくりに加担した疑いがあり「それ以上に責任は重大」(廣田恵子教育長)という県教委を含め誰一人、責任論に言及しないのも検討会の不思議である

▼「高校生、保護者も含め、広く県民の意見を聞き」検討すると県教委。一人県費1千万円は下らぬといわれる生徒育成に納税実績も、今後も期待できない県外生徒を受け入れる―県教委と利害関係のない一般県民はどう考えるか。すなわち検討会委員以外はどう考えるか。答申案の前に、意見を聞いてみたい。