2017年8月30日(水)

▼「子どもの問題は大人の問題です」と言ったのは鈴木英敬知事である。鈴鹿市の中二男子暴行事件に絡み、大人が早期発見・解決して不安を解消する環境をつくらねばならないという趣旨だが、この言葉自体は、大人の言動が子ども社会に色濃く反映されるという意味にも使われる

▼大人社会を子どもらはよく見ているということだろう。大津市立中二自殺事件で第三者委員会委員として校長室に入った教育評論家・尾木直樹さんに対し、子どもたちが窓越しに口々に「尾木ママ隠蔽されないで」と叫んだという。県のいじめアンケートでも「しっかり注意して」「見て見ぬふりをしないで」の回答が多かった。「解消率が重要」だとして県教委が92・8%と胸を張るのとは明らかに矛盾する

▼全国学力テストで、中三数学Aを除き、全国平均を下回った。県独自の学力調査「スタディチェック」など、昨年度の向上に「効果があった」と評価された施策や追加の取り組みは結果的に空振りだった。どんなに素晴らしい試みも指導者に対する信頼がなければ、総合力は発揮できないのではないか

▼教師の万引や着替え、スカート盗撮などが頻繁に報じられるようでは、教えが砂地に水が染みこむようにというわけにはいくまい。「見て見ぬふり」を見抜く辛らつな目が背後の氷山を見つめているかもしれない。多くの教師がズルをした疑いの越境入学問題が何の責任もとらされないのを見ては言うことを聞く気になどならないのではないか

▼過度の部活動は正答率を下げるという。越境入学問題を起こす風土が、とは言わぬが。