2017年9月1日(金)

▼内閣人事局ができて官僚は言いたいことが言えなくなったと言われるが、どっこい志摩市の加藤倫之前副市長は記者会見で思いのたけをぶちまけ、環境省に戻っていった。言いたい放題の気風、厳として地方にあり

▼前市長時代に地方創生人材支援制度で来県し、市長交代で辞職願いを出したが慰留された。関係悪化としてあげるのがヘリコプター遊覧飛行事業を企画した民間事業者の説明会。担当部署を紹介した前副市長が「民間事業者が独自に進める事業。市長報告は必要ないとの認識だった」。対する竹内千尋市長は「市民の安心安全に関わることで市長に報告しないことはあってはならない」

▼確執が表面化するには細かい行き違いの積み重ねが一般的だが、一事が万事か。「市長を市長とも思わず」といういらだちが「予算や人事、政策などにほとんど関与させてもらえていない」(前副市長)へと発展したのかもしれない

▼県から市町村の副首長で派遣される場合も、大物とか後継含みなどと言われるほどトップとの衝突が少なくない。「オレがやらねば誰がやる、誰ができる」みたいな思いの強さの裏返しで周囲がバカに見えたり、周囲がバカにされていると見たりする。取り巻きができて身動きが取れなくなるケースも

▼伊勢志摩サミットなどで前副市長は「精力的に頑張ってくださった」と鈴木英敬知事。環境省も退職の一部報道もあり「相談に乗れることがあれば」と気にかけたが、心配無用だった。大学、官僚ともに十年ほど後輩。仕事、能力以外のこだわりなどは入り込む隙間はなかったに違いない。