2024年4月18日(木)

▼津地裁に勤務して3年。あれっ、と安くなったことに気がついたか。それとも、異動も昇給もないし、いい加減やってられるかと思ったか。民事部の部総括判事(裁判長)、竹内浩史判事が「地域手当差で減給するのは違憲」として2年間の減額分約240万円と国家賠償を求めて名古屋地裁に提訴する

▼「裁判官の常識のなさはわれわれ弁護士の間では常識」と書いた弁護士のエッセーを法律雑誌で読んだことがある。竹内さんは昭和62年に弁護士登録、平成15年に弁護士任官制度で裁判官になったという。常識は十分だろうが、裁判官の人事と赴任先の妙は、最高裁事務局の巧みな統制制度と表裏だとして詳説した論文を別の雑誌で見たことがある

▼要はエリートコースは首都圏など大都市回りで“異端分子”は地方の“ドサ回り”。生涯報酬でかなりの開きができるそうだ。それが嫌なら、ということだ。法で手厚く身分が守られ、孤高の人などと呼ばれる裁判官を統制するにはやはり糧道を攻めるしかないということかもしれない

▼竹内判事も津にきてようやく裁判官のなり手が減っているとか「地方を回る裁判官への不利益が大きい。全裁判官の先頭に立って闘いたい」などという気になったに違いない。なにしろ勤務地の諸物価などで異なる地域手当は、東京が20%、大阪が16%、名古屋が15%なのに対し、津は6%という。ずいぶん見くびられた気がする

▼3年目で転勤なし。ブロガーで、先の弾劾裁判にも弁護側証人として出席して、罷免の回避を訴えたらしい。