国重文「木造十一面観音立像」修復完了 菰野町のパラミタに帰館 三重

【修復を終えて展示された木造十一面観音立像=菰野町大羽根園のパラミタミュージアムで】

【三重郡】三重県菰野町大羽根園のパラミタミュージアムの国指定重要文化財「木造十一面観音立像」が19日、修復を終えてミュージアムに帰ってきた。再び1階のギャラリーに常設展示している。

鎌倉時代を代表する仏師・快慶の弟子、長快(ちょうかい)の作。高さ約1・2メートルのヒノキ製で、表面に漆と金箔(きんぱく)を施した漆箔(しっぱく)造り。13世紀半ばに作られたとみられる。これまでに確認されている長快の仏像は、京都・六波羅蜜寺の弘法大師像とパラミタミュージアムの観音像の2体のみという。

昨年6月から約10カ月をかけ、京都市の美術院が修復した。ほこりを取り払い、漆箔の浮きが進まないよう剥落(はくらく)止めを施した。前かがみになっていた観音像を自立できるように調整した。

同ミュージアム学芸員の衣斐唯子さんは「見違えた。貴重な文化財なので気を引き締めて、次の世代へとバトンをつなげていきたい」と話した。