レジ袋に埋もれるウミガメの子1600匹 海岸の惨状を陶芸で表現 津で前川さん個展

【作品を紹介する前川さん=津市中央の三重画廊で】

【津】アートフォーラム三重会員の前川ただし(本名・忠)さん(56)=津市美里町=の個展が、同市中央の三重画廊で開かれている。膨大な数のウミガメの子がレジ袋に埋もれる様を会場全体で表現している。18日まで。

前川さんは測量設計の仕事をしながら30代で陶芸を始め、旧京都造形芸術大(現・京都芸術大)通信教育部陶芸コースを卒業。差別や自然破壊など社会問題を題材にした作品を多く制作している。

波の音をBGMに、縦横3・6メートルのスペースに手のひら大のウミガメの子の焼き物1600匹とレジ袋が重なり合っている。サンゴ礁の白化のイメージと重ね、白色のみで死を表現しているが、土や釉(ゆう)薬の種類を変え、さまざまな白で奥行きを出したという。

前川さんは「ごみが多い海岸を歩いていて、僕のできる形で惨状を訴えたいと思った。見て音を聞いて何かを感じてもらえたら」と話した。