三重県内から3件を答申 清風亭と星家住宅、登録有形文化財

【清風亭玄関棟】

国の文化審議会は24日、三重県名張市鍛冶町の川魚料理店「清風亭」の玄関棟と客室棟、伊賀市上野小玉町の星家住宅主屋などを登録有形文化財(建造物)とするよう、盛山正仁文部科学相に答申した。

県教委によると、清風亭は大正3年、川魚料理を提供する旅館として創業。玄関棟と客室棟の間にある中庭には、川魚を入れるいけすを備えている。名張川沿いにあり、客室棟の縁側から一望できる。

推理小説家で名張市出身の江戸川乱歩のほか、今東光や瀬戸内晴美、開高健、陳舜臣ら作家も訪れたとされる。県教委は「多くの人に親しまれ、名張川沿いの景観を形成する貴重な建物」としている。

星家住宅主屋は、藤堂家の御殿医だった中村玄瑞氏が明治期に居宅として使った。星家が明治40年ごろに購入して改修し、現在の姿となる。詳細な建設年は不明だが、県教委は江戸末期とみている。

上野城の城下町で、現在では数少ない角地に位置する住宅。通常の長屋とは異なり、出隅にも巡らせた格子などが特徴。「古くから続く城下町の様相を良く残している」(県教委)という。

これらを含め、文化審議会は全国で290件の建造物を登録有形文化財とするよう答申した。これにより、登録有形文化財の建造物は全国で1万4035件、県内では319件となる。

【星家住宅主屋】