震災遺構は防災意識持つきっかけに 津で映画上映とトーク、東日本体験者の佐藤監督 三重

【映画上映後のトークイベントで話す(左から)佐藤監督、森さん、矢尾さん=津市一身田上津部田の県総合文化センターで】

【津】三重県建設技術センター(津市島崎町)は17日、同市一身田上津部田の県総合文化センターで本年度の地域防災講演会「東日本大震災の記憶とこれから」を開いた。中学2年の時東日本大震災で宮城県石巻市大川小学校に通っていた妹を亡くした同市出身の映画監督、佐藤そのみ氏(27)の作品上映とトークイベントがあり、地域の自主防災会や防災コーディネーターら約290人が来場した。

防災意識を高めようと平成24年度から年1回開催し14回目。これまで体験者の講演が中心だったが今回は若者世代の視点で防災を考えようと2部構成で実施した。

第1部は佐藤監督の作品で、震災時に避難が遅れ多くの児童らが亡くなった大川地区の1年間を子供の視点で描いた劇映画「春をかさねて」と、佐藤監督ら3人の若者が亡くなった子らへの手紙で気持ちの変化をつづるドキュメンタリー「あなたの瞳に話せたら」の2本を上映した。

第2部では佐藤監督といずれもみえ学生防災啓発サポーター1期生で保健師の森和真さん(25)と看護師の矢尾七海さん(23)が登壇。

佐藤監督は映画製作の動機を「震災後めまぐるしく日常が変わり、これを形に残さないとこの先生きていけない気がした」と振り返った。震災遺構として大川小を残す計画には賛否があったが「今は全国から足を運ぶたくさんの人のための場所になった。残せて良かった」とし、若者が防災意識を持つきっかけについて「観光など楽しいところから広げていくと良いのでは」と助言した。

森さんは「大川小を残すことで震災を経験していない自分もより具体的に恐ろしさを感じられる」、矢尾さんは「若い視点で発信していくことが大切だと思った。仲間と試行錯誤したい」と述べた。