2023年11月6日(月)

▼かつてはクリスマスの酒場や路上などでのどんちゃん騒ぎがマユをひそめさせた。今はハロウィーンか。年々騒ぎが大きくなり、今年は事前に東京・渋谷区が駅前のハチ公銅像を白い幕で覆い、その周辺を仮囲いして、人の往来を遮断した

▼縁もゆかりもない外国のお祭りに便乗して騒ぐのは日本人の人の良さとも物珍しさ好きともとらえられるが、過敏な防止策は、昨年韓国の繁華街・梨泰院で日本人2人を含む多数の圧死者を出した事件に危機感を持ったためだろう。厳重警戒ぶりはビートルズが来日公演した武道館を思い起こす人もいたのではないか

▼ハチ公もさぞ迷惑だったに違いない。11月で生誕100周年を迎え、今や世界の人に愛される存在だという。白い幕の隙間からカメラを向ける外国人が目立ったし、幕で覆われていることを残念がる外国人も少なくなかった

▼記憶は薄れているが昔「父がつくったハチ公物語」なるエッセーを読んだことがある。新聞記者である「父」がヒマネタ用に書いた記事話がまことしやかに広がったというのだが、今回記者が関係者200人以上から取材した結果は、飼い主の上野英三郎東京帝大教授が急逝後も10年ほど駅に通い、帰りを待ち続けたというエピソードを裏切らないものだった

▼人懐こく、優しい犬だったという。津市の近鉄久居駅前には上野教授とハチ公が並び立つ銅像が建つ。人類最古の“友”にふさわしい。今年のハロウィーンは渋谷周辺も混乱はなかったという

▼便乗しやすい国民性が調子に乗っていただけで、ハチ公が幕で覆われたせいではないと思いたい。