2023年10月31日(火)

▼テレビの人気番組『新婚さんいらっしゃい』で、和服姿で登場した夫婦に司会者が手順通り氏名、年齢を尋ね、続いて職業を―。ありふれた答えだったが、司会者が「呉服屋さんかと思った」。会場からどっと笑いが

▼自民党の杉田水脈衆院議員が国際会議の参加者に「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場して」と発言して札幌と大阪の法務局から人権侵害の認定を受けた。本人は「差別がなくなると困る人たちと戦ってきた。私は差別をしていない」と反論している

▼北海道・登別温泉に住んでいた小学生のころ、白老の熊祭りを見学した。アイヌの村と称する“テーマパーク”で民族衣装を着た男女が舞ったが、今はこのような衣装で暮らす人はなく、観光用との説明があった。唇に分厚い墨を入れた中年女性は身近にもいたが、服装は洋服だった

▼「お笑いには差別を伴う」と言ったのは解剖学者の養老孟司さんだが「呉服屋さん」が“差別発言”となる将来が頭をよぎった。杉田議員は戦いの相手として「逆差別、えせ(同和)、それに伴う利権」などをあげた。津市の特定自治会長問題が起きたばかりで、思い当たることなしとしない

▼障害者差別ではないかと物議をかもした県外郭団体調査を杉田議員は雑誌で引用。県は指導におよび腰だった。県議の性的少数者差別が問題にもなった。自身が張本人とされる差別について、同議員は「あってはならない」と否定した

▼根源的な戦いをしていると言いたいのか。確かに県で問題になった差別事象は表層的に幕引きされてきた感はある。