過大請求は約1130万円 近ツー津支店、コロナ支援金委託費

三重県は25日、近畿日本ツーリスト津支店(津市新町一丁目)が新型コロナウイルスの影響を受けた観光事業者に支援金を支給する事業で、委託費のうち約1130万円を過大に請求していたと発表した。

県によると、過大請求があったのは、前年同月比の売り上げが3割以上減少した宿泊事業者などに支援金を配る事業。県は令和3年6月、企画提案コンペに応募した複数の業者から支店を選んで事務を委託した。

一方、支店は実際に業務をした人数よりも300人ほど多くが業務に当たったとする書類を県に提出。コールセンターの業務を別の事業者に再委託した際、県に請求した再委託費も過大に請求していた。

問題をめぐっては、近畿日本ツーリストが自治体から受託した新型コロナ関連の業務で過大請求が発覚。親会社が調査委員会を設けるなどして調査を進めたところ、支店での過大請求だった。

支店は今年5月に「過大請求の可能性がある」と県に報告していた。支店は県の聞き取りに、過大請求の経緯を「業務に支障がない限りで自社にある程度の裁量があると認識していた」などと説明している。

財源は新型コロナに関連した国の地方創生臨時交付金。県は近く支店に過大請求分の返還を求め、返還された過大請求分を国に返還する。「業務上の損害や悪質性はない」として、刑事告訴はしない方針。

県の観光戦略課は「県による審査では、見積書に書かれた人数と実態との差異を発見できなかった」と説明。「今後は複数人によるチェックを徹底するなどして再発防止に努める」としている。