性暴力から子ども守る 知事、条例制定を表明 三重県議会一般質問

【右から龍神啓介議員、中瀬信之議員、村林聡議員、小島智子議員】

三重県議会9月定例月会議は28日、龍神啓介(自民党、1期、津市選出)、中瀬信之(新政みえ、2期、度会郡)、村林聡(自民党、5期、度会郡)、小島智子(新政みえ、4期、桑名市・桑名郡)の4議員が一般質問した。一見勝之知事は性暴力から子どもを守る条例を制定すると表明した。子どもへの性犯罪で服役した人に住所の届け出を義務付けることも含めて検討する。小島議員への答弁。

デジタル施策進捗は
龍神 啓介議員(自民党)
デジタル施策による成果を「県民に分かりやすく知らせるべき」とし、進捗(しんちょく)状況を尋ねた。一見知事は県立高の入学願書提出など、61種類の手続きについて、オンライン上での行政手続きを可能としたことを報告した。

【津駅前】
龍神議員 令和2年に始まった津駅周辺の再整備は検討や調査が続いている。スケジュール感を含め、もう少し具体的に決めていくべき。県が前面に立って進めてほしい。駅周辺の活性化に向けた大きなビジョンを聞きたい。

若尾県土整備部長 令和2年度に検討会を立ち上げて整備方針を策定した。昨年度は整備方針の具体化に向けた検討委員会も立ち上げた。6年度は道路空間整備の具体的なイメージを検討するなど、早期整備に向けてスケジュール感をもって進める。

【DX】
龍神議員 デジタルトランスフォーメーション(DX)とは言うが、それに至るには業務プロセスの改善などが必要。便利になることを県民に分かりやすく説明し、やってみるもんだと思ってもらうのが理想。取り組みの進捗は。

知事 令和4年度に方針を策定し、県立高の入学願書やおもいやり駐車場の利用証など、75種類についてオンライン上での手続きを可能とすることを決めた。このうち既に61種類で可能にした。残りの14種類も8年度中には可能にしたい。

三重国体の早期開催を
中瀬 信之議員(新政みえ)
コロナ禍で三重とこわか国体(国民体育大会)を中止したことを受け、国体を早期に県内で開くよう求めた。一見知事は26日の一般質問での答弁と同様に「市町と調整する」と説明。開催時期については明言しなかった。

【公共交通】
中瀬議員 誰もがアクセス可能な交通の実現を議論したG7交通大臣会合が志摩市で開かれた意義は大きい。日本の公共交通は採算が前提だが、欧米では財政で維持する仕組み。公共交通のあり方やバリアフリー化に向けた考えは。

知事 確かに欧州を見習う必要があるが、そのためには膨大な財源が必要。財政も見ていかなければならない。本年度は県庁に公共交通の担当課を新設した。バリアフリー法によって世の中は変わってきた。当事者の話を聞いて交通体系を考えたい。

【国体】
中瀬議員 国体を早期に県内で開くべき。天皇杯で優勝しなければ、トップアスリートは育たない。財政を気にすれば、市町間の格差が広がる。選手に大きな目標を作ってあげることが重要。今すぐ開催時期を決断すべき。

知事 三重とこわか国体の中止は知事に就任してまもなくのことで、苦渋の決断だった。2巡目の国体を開催できなかったと他県から言われると、特にスポーツに関わる次の世代にとってはもたない。開催は市や町の了解が必要。調整を進めている。

「コンパクト」改めて
村林 聡議員(自民党)
県が策定した南部地域振興プランの中間案に「コンパクト」という言葉を盛り込んでいることが「大変気になる」とし、改めるよう要請。県当局は「行政コストも意識しながら進める必要がある」などとして理解を求めた。

【離職】
村林議員 コロナ禍も一段落した雰囲気があるが、ここに来て看護師が集団で離職し、閉じざるを得なかった病棟もあると聞く。看護師からは「疲れた」という答えが返ってくる。看護補助者へのタスクシフトなど、離職防止の取り組みは。

小倉医療保健部長 看護師の離職を防ぐため、業務や心身の負担を軽減する必要がある。看護師をサポートする看護補助者の研修を開いたり、女性が働きやすい職場を認証する制度を設けたりしている。好事例の横展開など、効果的な離職防止に取り組む。

【南部振興】
村林議員 県が策定した南部地域振興プランの中間案に「コンパクト」という言葉が入っているのが大変気になる。駅前の市街地などなら有効だろうが、タウンやビレッジにコンパクトの考え方を持ち込むべきではない。改めるべき。

下田南部地域振興局長 前提として、行政コストも意識しながら進める必要がある。無くなる店舗を維持する代わりに移動販売を取り入れたり、耕作放棄地の再生に企業の力を借りたりと、これまでとは異なるアプローチも必要。市町と連携して取り組む。

性暴力「対応ブック」の効果は
小島 智子議員(新政みえ)
児童や生徒による性暴力への対応を明記したハンドブックの活用方法や効果などについて尋ねた。県当局はハンドブックに書かれた初期対応を実践した例があると報告。教職員向けの研修で活用していることも説明した。

【性暴力】
小島議員 昨年度の一般質問で児童生徒間の性暴力に対応マニュアルが必要だと訴えた。迅速に対応してもらい、2月には「学校における児童生徒間の性暴力対応支援ハンドブック」が完成した。学校に配られたが、どう使うかが大事。

竹内環境生活部長 学校からはハンドブックに基づく初期対応の次に必要な対応について尋ねる相談が寄せられた。学校での研修を実施しているほか、児童精神科医や性教育の専門家による研修も開いている。引き続きハンドブックの活用が進むよう取り組む。

【条例】
小島議員 性暴力から子ども守ることを目的とした条例を、長野県や大阪府が制定している。18歳未満への性犯罪をした人に住所などの届け出を義務付ける条例を策定している府県もある。条例の制定を目指してほしい。

知事 大人が解決しなければならない問題。制定に向けて動く。県職員の業務は多岐にわたり、制定にはかなりの作業を伴うが、県民のため、どんな作業もいとわずにやってくれると思う。さまざまな情報を集める必要がある。他県の条例も学ぶ必要がある。